2019-01-01から1年間の記事一覧

小説で有名な偉人が書いた小説が面白い

エミール・ゾラの『水車小屋攻撃』という短編集を読んだ。高校時代に世界史Bを頑張ったひとであれば、『ナナ』『居酒屋』といった代表作や自然主義文学という文化史用語とともにペアにして暗記したことがあるかもしれない。 水車小屋攻撃 他七篇 (岩波文庫) …

システム論的に考えつつシステムのなかでふるまうにはどうすればよいのか?

それは「デザインした主体、主体がデザインすることが物事の生起をコントロールする」という、結局はシステム論的に転換する前段階の考えかたになってしまう。これはえぐい罠で、僕もかなり引っかかってしまうんだけど、ではかからないようにするにはどうす…

手負いの、抜け目ない獣~プレミアリーグ第19節トッテナムvsブライトン~

観るがわも大変なほどのペースで試合がある、年末進行のイングリッシュ・プレミアリーグ。僕の応援しているトッテナム・ホットスパーFCは前節チェルシーに惨敗(太陽を90分見つづけてたほうがましだった - タイドプールにとり残されて)したあと、すぐにホー…

自分の大喜利に点数をつける 7

ロックンロールは鳴り止ま pic.twitter.com/9a4x8Awpku — soudai (@kageboushi99m2) 2017年11月24日 お題の文脈を破壊して、そこにほかの場所からまたそれ自身の個性的な背景を持つワードを無理やり持ってくる、という形式のボケになっていて、「解剖台の上…

ああ奥ゆかしきキンモクセイ

ジャパニーズポップス キンモクセイ J-Pop ¥2139 キンモクセイという僕の大好きなバンドが活動を再開し、この12月25日についにニューアルバムを出した。今年のクリスマスにおいて2番目にうれしい出来事だった。*1 キンモクセイ「やっぱりこの5人は特別」再…

眠れない夜のうた

眠れない夜がある 眠れない夜には目を閉じて今日起こった出来事をふりかえってみるたとえばある日はバス、爪切り、透明人間、バスケットボールそしてべつの日はアマガエルの轢死体、ピエロの風船、ティーカップの染み、信号機の故障そうしているといつのまに…

空港 - Air Port -

なにかというと僕は最近、空港についての勉強をするのにはまってるんですね。なにかふと思いついたことについて勉強するのは昔から好き。 空港経営と地域―航空・空港政策のフロンティア 作者:加藤 一誠,山内 芳樹,引頭 雄一 出版社/メーカー: 成山堂書店 発…

太陽を90分見つづけてたほうがましだった

プレミアリーグ第18節、トッテナムvsチェルシーの試合があった。単なるビッグマッチではない。一時は順位表の下のほうにいたトッテナムは、モウリーニョ監督就任後めきめき調子を上げていて、いつのまにかこの試合に勝てば得失点差でチェルシーを追い抜ける…

自転車サッカーがかなり面白い

QuizKnockのこちらの動画に出てくる「室内サイクルサッカー」というワードにとても興味を持ったので、検索した。そしたらめちゃくちゃ見てて面白いスポーツだったのでちょっと紹介します。 こちらはRSV Tannというドイツの(おそらく)自転車スポーツクラブ…

カラオケで歌う曲

僕は音痴*1なので、カラオケに行くのがそこまで好きではない。行くのは激酔いしていて世の中のすべてのスポットが至福の場所に見えているときだけであるが、そんなときはべつにカラオケとかじゃなくて炭鉱とかでも行ってしまうと思う。 はじめて行ったカラオ…

ヴァンパイア・ウィークエンドとエミリー・ディキンスン

Every time I see you in the world, you always step to my girl この世界で見かけるたびに、いつもお前は俺の大切なひとに一歩一歩と近づいていく Vampire WeekendというバンドのStepという曲がとても好きで、死後も思い返して聞けるように生きているうち…

好きなものしりとり

オリジナルのゲームを考えるのが好きで、これまで考えたお気に入りのゲームがいくつかある。そのうちのひとつを紹介したい。 それが「好きなものしりとり」である。まずは複数名で集まって、参加メンバー全員が含まれる順番を任意の方法で作る。言い出しっぺ…

前哨戦~ラ・リーガ17節、バレンシアvsレアル・マドリー~

スペインのサッカークラブ、バルセロナとレアル・マドリーの対戦には「エル・クラシコ」という特別な名前がついている。サッカーに特別な関心がなくても、この両クラブの名前は知っているというひとはひょっとしたら多いかもしれない。 ピッチの内側で楽しむ…

シオラン『告白と呪詛』

告白と呪詛 作者:シオラン 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店 発売日: 2012/05/28 メディア: 単行本 シオランというルーマニア出身の思想家がいる。アフォリズムという形式で本を書いたことで有名な作家である。アフォリズムというのは、なんかこう、なんらかの…

北海道コンサドーレ札幌、2019年

北海道コンサドーレ札幌の2019年シーズンが終わった。今日はその振りかえりです。 まずは成績を見てみよう。最終結果はこんな感じ。順位、勝ち点ともに去年を上回れず、最終的には半分より下の順位でシーズンを終えることになった。目標としていたACL出場権…

短歌 3

あなたに会いに来るまでに捕まえた二匹のポケモンのはなしをする また奇形、朔日の夜に埋めるとき冷たく眠る父や兄たち 神さまが僕らの席を指定してとても長い映画が始まる 星空が壊れてしまうよお父さんプラネタリウムを投げつけないで 梅雨の朝 それでも蝶…

英語版限界しりとりをめっちゃやった

限界しりとりというQuizKnock発祥のゲームがある。しりとりをしつつ、自分の手番が回ってきたときにトランプを引く。引いたカードに書かれている数字とおなじ文字数の言葉で返さなければならない。それぞれに持ち時間があって、使い果たすと負けになる。 そ…

キム・エラン『どきどき僕の人生』

キム・エランさんの本『どきどき僕の人生』を読んだ。版元は韓国書籍専門でおなじみのクオンという出版社。 これは最も幼い親と最も老いた子どもの物語である。 シンプルながらかっこいいデザインで、韓国の現代文学をひたすら出し続けているこちらのレーベ…

Wikipedia目次クイズの可能性

先日、ふと思いついてずっとWikipedia目次クイズについて考えていた。ルールは簡単である。 Wikipediaの、ある程度おおきなページには設けられているこの目次のブロック。これを見て、この目次が一体なんという項目の目次なのかを当てるクイズである。反応を…

ふさふさParcels

世界は広い。広い世界にはなんと、メンバー全員がスペースキーの存在を知らないバンドがある。それがParcelsである。たしかに、なにも書いていないキーなので、「おそらくなにも起きないキーなのだろう」と推測して、結果押す気にならないのはわからなくもな…

短歌 2

飽きっぽくてたまに憂鬱になったりプリンスされど即位は今夜 家にさえ帰れば僕の猫たちが僕の教養を喜んでくれる 初期値からわずかずつ色を変えてゆきどこまで続く虹の人生 水びたし 無言で喜ぶそばにいてそれを言葉にしてほしかった 結び目がふいにほどけて…

一晩中勃起

一晩中勃起している、ということがたまにあって、そのたびにちょっと困っている。 前提として、世のなかの人間のうち半分くらいは体験して知っているとおり、勃起というのは性的な刺激がなくても、起きるときは起きるものである。どういうときに性的要因以外…

質問に答える 2

ネタ切れというよりはたんに僕の活動量の低下が問題で、さいきんなかなかこのブログを書くモチベーションがなかった。苦しまぎれに質問を募集してみたところ、やはり苦しまぎれ感というのは伝わるものなのか、みごとにほとんどなにも来なかった*1。やはりこ…

美しいウィスキー

「CAOL ILA」と書いて「カリラ」と読む。まるでファッションブランドのように初見殺しの読みかたをするこのウィスキーがどうしても飲んでみたかった。飲んでみたい飲んでみたい飲んでみたい。まあでも高いしな…。そう思いながらふつうの安ウィスキーを飲んで…

ギャガーと秀才は紙一重~赤染晶子『乙女の密告』~

家の近くに新しくできた古本屋があって、これがかなり志の低い古本屋なのでけっこう好きでいる。駅の近く、商店街の端っこという好立地で、外装もかなりきれい目。それは良いのだけど、扱っている商品にまあ思想がない。古本市場のワゴンにある品をとくに選…

世界はデレ・アリを中心に回っていた

悪夢*1を見て目覚めたらちょうど4時25分だったので、5分後にはじまる、19/20シーズンプレミアリーグ第15節、マンチェスター・ユナイテッドvsトッテナム・ホットスパーFCの試合を見ることにした。 長くクラブと運命を共にしてきたマウリシオ・ポチェッティー…

君は2017年に開かれたアナザー・オリンピックを見たか?

夏季オリンピックは(西暦でいうと)4で割り切れる年に、冬季オリンピックは4で割ると2余る年に行われることになっているため、2017年にはオリンピックは開催されていない。そう勘違いしてはいないだろうか? 2017年、Marblelympics(ビー玉オリンピック) 2…

Hot Hot Heat

最近はとっても寒くなってきたのでもっぱらHot Hot Heatのアルバムを聞き返している。カナダ、ブリティッシュコロンビア州にあるビクトリア*1という都市出身のバンドで、5枚のアルバムを出し、バンドとしての使命を終えたようにして解散した。 チープな音、…

医者でミュージシャン、Henrik Widegren

医療やヘルスケアに関する曲を世界は必要としているだろうか? たぶんそんなことはないだろう。でもとにかく、私はそういう曲を書く Henrik Widegren Henrik Widegrenは耳鼻咽喉科の医者であり、医療にまつわる曲を作るミュージシャンである。とはいっても、…

ノーベル文学賞をどれくらい読んでいるのか? 5

過去 2000年代​ 年 肖像 受賞者 国籍 ジャンル 備考 2000年 高行健 フランス 小説・戯曲 華人初の受賞者フランスに亡命 2001年 V・S・ナイポール イギリス 小説 2002年 ケルテース・イムレ ハンガリー 小説 ハンガリー人初の受賞者 2003年 J・M・クッツェー …