高校時代、寮に住んでいたんですが、そのときは誰かの部屋*1に夜集まって死ぬほど大富豪をしていた思い出がある。
あまりにも大富豪をしていたので、そのあと学校のクラスのほうで大富豪が流行る*2タイミングがあったのだけど、そこでは、「寮生は寮でずっと大富豪をしてきたので全体的に強い」という評判が立つほどであった。
ただ集まって大富豪をしていただけだったのだが、あのころの楽しさ・わくわくはいまでも震えるくらい思い出せる。それぞれのプレイスタイルとか、こまかいローカルルールどれを採用していたかとか、「誰か止めないとあいつ上るぞ」ってときに行ってくれる人と行ってくれない人とか……。
将棋界大富豪最強戦
そんな気持ちになったのは「将棋放浪記」に上がっていたこの動画を見ていたから。プロ将棋棋士が大富豪をする、という企画にブッキング可能上限ぴったりの豪華なメンツが集まっている。
それでどんだけ楽しい動画になるんだろう……? とわくわくしてひらいたら、手札表示とカット・早送りしかない最低限の編集で、20ラウンド計1時間の大富豪勝負が流れるだけという相当ハードコアな仕上がりになっていた。
だがハードコアだからこその面白さが詰まっていた。早々と上がってしまった藤森五段について、「どうすべきだったのか→どうしようもない」という感想戦を繰る渡辺名人と糸谷八段。言葉少なながら静かに追い上げていく森内九段。ルールの細かい仕様を執拗に問い詰める渡辺名人といった、キューンとなるような画が流れていて、素晴らしい時間でした。
プロ棋士だからこその凄さ、というのがめっちゃ見れるわけでは(たぶん)ないと思うのだけど、その代わりに、勝負の場に向かうときの雰囲気が、大富豪という僕らでもわかりやすいフィールドに直したうえで伝わってくるのがいいですよね。エンタメになってないところが、エンタメなんですよね、この動画の。そして視聴者は天から目線なので、「あー! ここで悩むの超わかる! でも! でも安パイのK2枚が正解だから! それいって! それ!」みたいな、ふだん将棋を見ているときではありえない盛り上がり方法で盛り上がれるのが良かった。