太陽を90分見つづけてたほうがましだった

 

 プレミアリーグ第18節、トッテナムvsチェルシーの試合があった。単なるビッグマッチではない。一時は順位表の下のほうにいたトッテナムは、モウリーニョ監督就任後めきめき調子を上げていて、いつのまにかこの試合に勝てば得失点差でチェルシーを追い抜けるというところまで来ていた。

 

 上り調子のチームが上を倒して上がっていくのを見るのはつねに楽しい。今日がその夜、だと思っていたのだけど……。

 

 チェルシーはいつもとは違う3バックのシステムを採用。意図としては攻撃時5トップ気味になるスパーズのシステムに対して、後ろの人数をかみ合わせる、ということだったのかもしれないが、この布陣変更はチェルシーがボールを持ったときに大きな利点をもたらしていた。

 

 スパーズはふだんは、デレ・アリとケインを一列目に据えて、ウィングの2枚がサイドMFの位置を守る、4-4-2の形のブロックを形成して守備をしている。ただ今回の試合は、チェルシーが3バックなので、そのまま3トップの3名をチェルシーの3バックにあてるような守りかたをしていた。

 そのこと自体はべつにそういうことでもかまわないのだけど、そこから後ろがまずかった。チェルシーの中盤の攻撃陣、両WB、両シャドー、両CMFの6名に対して、誰が誰を見るのか、見るとしてフィールドのどの範囲までなのか、自分が本来守るべきスペースをどこまで捨てて追いかけるのか、すべてがあいまいで、守備がとてもゆるゆるになってしまっていた。

 

 明確な責任者が見つかる形で2失点してしまったが、その本人たちがわるいというよりは、チーム全体の機能していなさがたまたまそのふたりの場所で現れた、ということなのだと思う。

 

 ぎゃくに攻撃時は、ダイアーとシソコのダブルボランチがうまく顔を出して受けて捌く、みたいなタイプではないこともあり、ビルドアップはなかなかうまくいかず、かといって中盤を省略しても、相手のひとをつぶす守備に局面で勝つことはできなかった。チェルシーの3CBさん(トモリ、ズーマ、リュディガー)は、めちゃくちゃ良かったです。

 

 エリクセンが入ってすこしましになりそうな気配はあったが、そのあとのソン・フンミンのあまりにひどいレッドカードと、観客による人種差別ですべてが終わりになってしまった。試合でひどいパフォーマンスをするのは、まあそういうこともあるという気持ちにしかならないけど、ひとをわざと蹴るとか人種差別するとかはふつうにダメでしょ。はてしなく暗い気持ちになるゲームでした。*1

*1:無理やりいいところ探しをするなら、ダビンソン・サンチェスのやけくそ突破からファールもらったやつはかっこよかった。