前哨戦~ラ・リーガ17節、バレンシアvsレアル・マドリー~

 

 スペインのサッカークラブ、バルセロナレアル・マドリーの対戦には「エル・クラシコ」という特別な名前がついている。サッカーに特別な関心がなくても、この両クラブの名前は知っているというひとはひょっとしたら多いかもしれない。

 

 ピッチの内側で楽しむ分にはライバル関係も良いスパイスなのだけど、残念ながらそうではなく、このふたつのクラブ、ひいてはこのふたつのクラブを擁するそれぞれの地域には、サッカーに限らない歴史と因縁がある。カタルーニャ州の政治的な状態が不安定*1なこともあり、本来は10月に予定されていたエル・クラシコは12月19日(日本時間)に延期されることとなった。

 

 その結果、レアル・マドリーバレンシアバルセロナレアル・ソシエダという、それぞれ苦手としている相手のアウェーを、クラシコの直前に戦うことになった。まさに前哨戦である。バルセロナは一足先にソシエダと戦い、2-2で引き分けた。では、レアル・マドリーはどうか?

 

 苦手とかそれ以前にそもそもバレンシアは強豪である。今年はリヨン、アヤックスチェルシーと同居した激戦の組を抜けて決勝トーナメントに進んでいる。

 

 そういうシチュエーションがプラスに働いたのか、レアル・マドリーの選手は開始からエネルギー溢れるプレイをしていた。試合の入りから、モドリッチ、クロース、バルベルデのプレー精度や攻守の切り替えの意識は素晴らしく、その3名が前のめりにプレーすることで空く中盤のスペースは、CBのセルヒオ・ラモスとヴァランが一対一でつぶしていた。強いときのレアル・マドリーの感じである。

 

 そんな感じになっているときに点が取れればよかったのだけど、今節のスタメンはイスコとロドリゴ。コンパクトなブロックを最後まで崩さなかったバレンシアに対して攻め手を欠き、しだいに攻撃はしゃーなしのクロスで終わる単調なものが目立ってくる。

 

 60分ごろからすこしずつ、エネルギッシュに走っているメンバーが疲労し、そんなところで失点。でも最後のプレーで劇的な同点弾を決め、結局は1-1で引き分けることになった。

 

f:id:kageboushi99m2:20191218113929p:plain

 まあ良くも悪くもレアル・マドリーは選手がそれぞれどれだけ輝けるかがすべてのチームであり、それ以上のものを期待しても良いことはない。今回の試合の展開上「引いた相手を最後のところで崩す」という部分を求められた5名の選手(スタメンのイスコ、ロドリゴ、途中出場のベイル、ヴィニシウス、ヨビッチ)以外は及第点以上の出来だったので、引き分けだったけど見ていて退屈はしないゲームでした。

 

 ハイライトを見てもらえばわかりますが、最も素晴らしかったのは、実質アシストを決めた、ゴールキーパークルトワでございましたわ。

*1:空港が占拠されるなど、かなり大規模なデモが起きている。