私事ではあるが、最近足を骨折してしまった。とても痛いし、不便である。
……でも大丈夫。足を骨折したときに聴くべきバンド、Bluejuiceと出会えたから。2000年から2014年まで活動した、オーストラリア・シドニーのバンド。2枚の初期EPと3枚のオリジナルアルバム、そしてキャリアの最後に「Retrospectable」という名前のベスト盤をリリースしている。
とくにお気に入りなのは先に挙げた3rdアルバム「Company」。これが、……何名が賛同してくれるかわからないんですが、少なくとも僕にとっては名盤なんですよね。
どの曲もめちゃくちゃポップで、お気楽な繰り返しの歌詞が並んでいるんだけど、メロディーのきらめきのなかにどこか、一周回って憂愁とは反対のものに見えてしまう憂愁がある気がするんですよ。
たとえば、2曲目の「Act Yr Age」イントロをすこしいったところの和音を聞くときとかに、そんな気分になる。この天上的な切なさ。世の中にたくさんあるシリアスなバンドも当然いい曲を書くけれど、本質的にポップなバンドしかたどり着けない独特の場所。そういう感覚を与えてくれる場所がアルバムのいろいろなところにあって、とても満足感がある。
よりアンセム然としている「Aspen, New York」、朝に聴きたくなるような「The Recession」、古き良きブリットポップみたいな音をしていてサビがイヤーワームな「Cheep Trix」、ペカペカしたギターが性癖に刺さる小品「Dressed for Success」などなど、……いろいろな曲が好き。*1
ただなんか、先述したような感覚があるのは3rdアルバムだけで、2ndはたしかにいい曲なんだけど、そこまで熱中するほどではなく、ポップの中の切なさみたいなのがあまり感じられない。1stはボーカルがヒップホップである。なんで?
1stの曲「Vitriol」。RHCPキッズだったのか?という感じだ。ここからどうしてああなった…。
2014年にバンドは活動を休止。公式Twitterアカウントでバンドの過去の曲「Broken Leg」にひっかけたネタをリツイートするくらいしか動きはなかったのだが、
(こちらは過去の曲「Broken Leg」)
In 2015, we hired 50 archivists to work to ensure our legacy survived the inevitable heat death of the universe. This mission uncovered unreleased demos described as “pretty good actually”. Today we release ‘Movies’ from the upcoming “Jelly” EP. We hope you like. Love Bluejuice x pic.twitter.com/Ry88cNfCSh
— Bluejuice (@thisisbluejuice) 2022年10月20日
なんと2022年も10月になって、新譜のリードトラックを発表した。……聞いてみた感想としては、「わからん!🤗」だったのだけど、1stでいいなってなって2nd以降を聞いた人も同じことを思ったでしょう。
わからないままなのか、それとも何か連続性を見出せるのか。……新譜のフルバージョンを聴ける日が楽しみです。
*1:とくに「Aspen, New York」は一生にわたって繰り返し聞くだろうな。