こちらで紹介した本のなかにイギリスの「白い羽運動」という話が出てきて、もう少し詳しく知りたいなと思ってインターネットで検索してみた。
コラム/羽根を押しつけられた男たち - works_petrowka - atwiki(アットウィキ)
そうしたら出てきたのがこちらの記事である。第一次世界大戦のとき、軍隊に行っていない男性に女性が「白い羽」を「臆病の印」として贈り、戦争への志願を促す、という運動があった。
安全な銃後で無責任に白い羽根を押しつける人間がフェミニストだというなら、そして塹壕の奥底でガタガタ震えながら砲撃が止むのを待つ人間がセクシストだというなら、おれは喜んでセクシストとなり、羽根を受け取らざるを得なかった兵士達の肩を持つ。誰が何の被害者で、誰が何の加害者なのか。複雑に入り組んだ歴史の塹壕が我々の目の前に張り巡らされている。
その「白い羽」の英語版Wikipedia記事を翻訳し、戦争というあやがついたシチュエーションでの社会のある集団とある集団の対立、その複雑さについて語り、男性へのサポートを表明する感傷的な結びをもって終わる文章だった。
内容についていろいろ意見はあると思いますが、それを措けばコラムとして非常に面白かった。
なので、この日の残りは同サイトにある文章を片っ端から読んで過ごしました。ミリタリファンのバックグラウンドを持っているようで、歴史コラムだったり、ゲームのレビューが並んでいる。このジャンルの文章が好きな人はぜひ読んで損はないですよ。
リアルは燃えているの…か? ゲーム「PANZER FRONT」
歪むリアル。B型という「怪物」 ゲーム「PANZER FRONT Ausf.B」
おすすめをいくつか。「PANZER FRONT」という戦車戦シミュレーションゲームを題材に、「ゲームにおけるリアリティと面白さ」について語られているこちらの文章は、ゲームの描写がうまくて丁寧だし、批評としてとてもきれいである。
キューポラから戦車長が顔を出すとか、砲と照準器のずれを再現するとか、砲弾貫徹時のエフェクトが徹甲弾と榴弾では微妙に違うとか、敵発見の報告を受けると歩兵が前屈みになるとか、砲兵が測距儀を構えているとか、B型はものすごく細かいところにこだわっている。そういうこだわりはおれも大好きだし評価したい。でも、そうじゃなくても良くないか?
レトリックもいいですね…。
傭兵ギルドってなんなのさ? 君にも出来る(かもしれない)傭兵生活
こちらの「傭兵ギルドってなんなのさ?」では、創作物内で出てくる「傭兵ギルド」についての疑問を出発点に、傭兵のシステムを解説し、では傭兵に「ギルド」があるとしたらどのようなものなのか、についての結論を出している。
どのコラムでも、批評対象について何かコメントをつけるだけじゃなくて、「成果物」を盛り込んでいて、文章全体を世界との関係においてちょっと生産的な、建設的なものにしようとしている感じがあってすごいなあと思う。
ちなみにこちらの方のメインの活動は「『伺か』用ゴーストの配布」らしい。なんのことだか分からなかったのでちょっと調べてみたんですが、DEEPなネット文化でかなり良かった。
総合的にとても学ぶことや楽しみが多かったインターネット体験になりました。非常に面白かったです。