パンチの効いた・歌える・パンク PUP

 

 PUPの新しい曲が公開されていた。音楽をはじめて、それに心を奪われて、それに人生を打ち込み始めるときの喜びが表現されたミュージックビデオをしていて、曲も非常にイノセントでエモーショナル。やっぱりこのバンドが好きだなあと再確認した。

 

 というわけで今回は、だれでも知っている!というわけではないけどそうなっていてもいい実力とキャッチーさを持つバンド「PUP」について思いを語っていきたい。

 

 カナダのトロント出身、2010年から活動を続けている4人組のバンドだ。……曲は、基本的にはパンクロックなのだけど、けっこう聞かせどころがはっきりとしていて情熱的。でも、ねっとりとしていてひとを選ぶようなテイストもないので、そのへんはちょっと上品にも聞こえる。ふつうに00年代ごろの日本のインディーロックが好きなら違和感なく聞けるのではないだろうか。

 

 やっぱり個人的に彼らの曲で強く印象に残っているのは、「Sleep in the Heart」なんですよね。自分にとっての、魂のなかの一曲と言ってもいい。

 ギター2枚の絡み合いがリッチで美しいイントロから、高音で鳴くようにうたうボーカル、……展開にも富んでいて聞いていていろんな感情が去来する。ミュージックビデオも激熱なので興味を持ったらちょっと見てみて下さい。犬好きなかたはとくに。

 

 長い曲は聞いていられないよ!というかたにはこちらだ。基本的にみんな大好きな曲で、どちらかというと純正のパンクに近めの雰囲気。なのだけど、「ウォーーーーー、ウォーーーーー」と入る唸り声と連打するようなボーカルの絡みが良くて、やっぱり歌えてポップさがある。

 ゴリゴリのところと視聴者にやさしいところ、このバランスを、バランスを保つためだけに魂を失う、なんていうこともなく保っていて、とてもいいと思うんですよねこのバンド。

 

 遊び心にあふれたバンドでもある。実際のリリースのまえにコードと歌詞を公開して、「原曲を聞かずに自由な発想でこの曲をカバーしてみて下さい!」と音源を募ったのがこの曲である。

 

 ミュージックビデオにはその音源が使用され、最後には長いクレジットが流れる。また、概要欄にはこのプロジェクトに参加してくれた人々全員分が聴けるリンクも置いてある。こういう発想で作られるMVはたまにあるけど、なかなか全員分のリンクやクレジットまで用意する例はないんじゃないでしょうか。音楽を楽しむことと、そのアマチュアリズムに最大限の敬意を払っていて、そのスタンスもとても慕わしい。

 

 PUP、最高なのでぜひ好きになってみてくださいね!