人生100年時代*1を迎えたいま、長い人生のなかでだれしも一度くらいは、自分がヨーロッパサッカーに詳しいふりをしないといけないことがあるだろう。
そこで今回は、すでにヨーロッパサッカーにそこそこ詳しい私が、「ヨーロッパ・サッカー・ファンに擬態するときに憶えておきたい難読選手名」を解説していきたい。
選手の名前はユニフォームの背中に書いてあり、基本的にはそれで読めばいいのだが、中にはユニフォームに書いてあるとおりに選手を呼称すると「さては、こいつヨーロッパサッカーファンの偽物だな?」とあやしまれる、そんな罠のような選手がいるのである。
罠選手:ロドリ
ユニフォームに書いてある文字は「RODRIGO」で、実際多分本名もロドリゴというのだろうけど、彼が「ロドリゴ」と呼ばれているのは聞いたことがない。しっかり慣例どおりに「ロドリ」と呼ばないと、馬脚を現すことになってしまう。
「RODRIGO」という名前の選手がこの呼ばれかたをする、……というわけではなく、これは基本的には、ちょっとまえはアトレティコ・マドリー、いまはマンチェスター・シティで中心選手として活躍している彼だけの呼び名である。*2ほかのロドリゴ、たとえばレアル・マドリーで右ウィングをしているロドリゴなどは、ふつうにロドリゴと呼ばないといけない。
罠選手:アリソン
「A・BECKER」と書いてあるからといって、この選手を「ベッカー」と呼んではいけない。この選手の場合は「A」の部分を読んで、「アリソン」と呼称するのが正しい。
……ただまあ、ゴールキーパーって実況解説に名前を呼ばれる機会が多いのと、ピッチ上ですぐ区別がつくので、彼を「ベッカー」と誤認*3する機会はそう多くはない。
むしろ、リバプールのキーパーはアリソンだと思ってたけど、「あれ? 今日の試合見てみたら? 『A・ベッカー』っていう知らないひとが出てる。控えキーパー?」となることが多い。このあるあるをいいタイミングでさしはさめば、あなたが偽サッカーファンであることに周囲の人が気づく可能性はさらに低くなるだろう。
罠のように見えてじつは罠ではないかもしれない選手:デパイ
「MENPHIS」と書いてあるが、この選手は「デパイ」である。……ただこの選手に関してはちょっと事情が異なる。
本名は「メンフィス・デパイ」で、基本的にはデパイと呼ばれるのだけど、伝統的に背中には「メンフィス」と書いていた。……そして、本人的には「デパイ」より「メンフィス」と呼ばれたがっているらしい。
その要望が浸透してきたので、最近は「メンフィス」と呼ばれることもちょっと増えてきたような気がする。もちろん「デパイ」もまだよく聞く名前で、体感では「デパイ」が7割くらいでしょうか。折衷案で「メンフィス・デパイ」と呼ばれる*4こともそこそこある気がする。
なので、もし擬態中に「メンフィス」を「メンフィス」と呼んでしまったら、焦らずに、顔色を保って「俺は『メンフィス』っていう側になったけどね?」みたいな態度をしておくのがいい。むしろ「コア」なサッカーファンだと思われ、その日をうまく運ぶことができるでしょう。