いや~、信じられない。選手がインタビューで、サッカージャーナリストがそれぞれのメディアで、そしてこの試合を見届けたファンひとりひとりがSNSとかで何回も何回も言っていることなのですが、ほんとうになにが起こったのか全く説明できない。
……とにかく、勝って決勝に行ったのは、レアル・マドリー! そのなかでもだれがベストの選手だったかというのには諸説あると思うので、とりあえずそれだけでも整理しておきたい。
説1:ロドリゴ
90分からわずか2分で2点を決めて試合を振り出しに戻したスーパーボーイがMVPのように、データだけ見れば見えるのだけど、ことはそう単純じゃない気がする。
もちろんロドリゴは試合のベスト選手の1人では間違いなくあるが、この2点は彼が決めたというより、マドリーすべてを巻き込んだ奇跡のいちばん先端部分にたまたま彼が立っていた、というようにも思えるんですよね。
とくに、アセンシオにちょっとかすったおかげで頭にぴったりミートした2点目を思えば……。
説2:ナチョ
試合が終わったあと小澤さんの配信を見ていたのだけど、そこで小澤さんが「ナチョ」の名前をマン・オブ・マッチにあげたのが印象的だった。
ナチョ良かったよナチョ。*1アラバに替わって出場すると聞いて、ナチョのところがネックになるんじゃないかと正直思っていたので、堂々とノーミスでプレーしていた姿には本当に頭が下がった。
ナチョは最初からだったけど、ほかにも70分ごろからは、カマヴィンガ、セバージョス、バジェホなど、「最高のマドリー」の一員とは必ずしも言えないような選手たちが、信頼されてピッチに送り出され、そしてマドリーの一員として信頼にこたえるプレーをしていたのが熱い。
今夜が世代交代の区切りとなる試合、バトンが渡されるまさにその一瞬だったのかも……、とか後から振り返って思うかもしれないよね。
説3:抽選ミスった人
ちなみにこの配信では視聴者から「Q.この試合のマン・オブ・マッチは?」「A.CL抽選会で抽選ミスった人」という渾身のボケが送られてきていて、水差すなよとも一瞬思ったが面白かったのでぜんぜん良かった。
たしかに、これがなくてラウンド16の相手がPSGではなくベンフィカだったら、……どう考えてもあんまり気合入ってない試合してベスト8くらいで負けてますよね。
PSG、チェルシーといった強敵を倒してきたからこそ、今回の逆転劇はあったと思う。倒してきた強敵のリストにさらにマンチェスター・シティの名前を付け加えて、最後はてっぺん、リヴァプールを倒しますよ。
説4:クルトワ
個人的な意見としては、この試合でもっとも素晴らしいプレーをしたのはゴールキーパーのクルトワだと思う。
3得点に関しては意味不明、なんで3点も取っているのかについての合理的な説明はないのだが、1失点に抑えたのはマドリーのディフェンスが能力を最大限に発揮したからだ、と言えると思う。
クルトワはおおきなセーブも多数あったし、弾いたりコーナーにしてしまいそうな難しいシュートをばしばしキャッチしていたのがすごかった。キャッチを見たときには、「われらの守護神がこの試合に最高の状態で入ってきてくれた…!」となって目頭が熱くなったぜ。
ほかにも、直接結果にはつながらなかったものの、最初の70分、奇跡が起きるまでの苦しい時間を焦れずに、シティのブロックを殴り続けた攻撃陣――モドリッチやベンゼマ、ヴィニシウスだったり、ゴールカバーで魅せたメンディ、4局面すべてで信頼感のあるプレーを継続して繰り返したカルバハルやクロース、バルベルデ、奇襲キックオフや変則フォーメーションを仕込み交代カードを勇気を持って試合に送り出したカルロ・アンチェロッティなど、正直、だれがマン・オブ・マッチに選ばれてもなにも驚かない。バジェホですらぜんぜんもらっていいと思うんだよな。*2
ということで、もう、そういう試合でした。胸がいっぱい! ……これからも応援しています、レアル・マドリー!