自発的な勉強を始めたのは高校1年のおわりのころである。英語はまず、「フォレスト」というなんか文法がまとまっている本があるのだけど、それを最初の1ページ目からどんどん勉強していった。疑問形を勉強して、過去形を勉強して、受動態を勉強して、関係代名詞を勉強して……、最後に強調とか同格とか否定とか倒置を勉強する、というような感じですね。
どうやって勉強したのかはじつはあんまり覚えていない。「フォレスト」には練習問題はついていなかったと思うので、たぶんノートにまとめるとかしたのだと思う。
それと同時に「ターゲット1900」という単語帳が電子辞書に入っていたので、それもちょっとずつノートに書いて覚えていった。ノートに覚える単語と意味を書いて、その次の1行に単語を書きとって*1、そのあと1行あけて、さらにその次の行に当該の単語を使った短い文を自分で作って書く。それがひとセットで、それを単語帳の次の単語、次の単語、……と繰り返すというのをやっていた。
文のところはできるだけ面白い文を書くようにしていて、それが単調な単語記憶ゲームのあいだのつかの間の楽しみだった。そのときちょうどやっていた文法のトピックをここで利用してみたり、とか、例文では見たことないけれど文法規則上このルールとこのルールに両方あてはまる表現をしたらこうなるはずだ、という複雑な文章を書いてみたりとか。
8か月くらいたつと「フォレスト」が終わるので、そのあとは「ヴィンテージ」というのをやっていた。フォレストだけでは手薄になるこまかい暗記事項や語法が、センター試験の形式で勉強できるのでとても役にたつ本である。
3年生の5月くらいに単語帳「ターゲット」と「ヴィンテージ」が全部終わったので、そのあとはセンター試験の形式の練習問題を1か月くらいやって、それからは東大の過去問を解いていた。
東大の英語は、英語の十種競技というか、SASUKE1stステージみたいなテストで、けっこういろいろな種類の問題をぎりぎりの制限時間でばしばし回答していく、という感じの競技になる。
ここは練習しながら「段落整序はほんとうに余力があったらでいい」「リスニングはとりどころなので満点狙いで」といった小技を学んでいくことになる。最後の一日まで、英語は東大の過去問やそれに似せた問題を解いて、つど復習していく以外のことをやる必要はない*2。
英語は、文法も単語も、ほとんどの人が8割くらいの完成度の状態で受験を迎え、それを長文読解ブースでごまかしながらなんとかする、というゲームになるのだけど、それに対して覚えている単語や文法の量という数字で殴れるのは圧倒的に楽だった。
16歳の時点で「みんなは、長文読解の参考書を買っているみたいだけど。……まずは文法と単語をぜんぶ覚えたほうがいいな」と考えてそれを実行に移したのは、いま振り返るとかなりえらいなとおもった。ゲームの本質を見抜く、洞察力がある。これはイカゲームとかで生かせると思うのでぜひこんど出場したい。