『自動車と移動の社会学 オートモビリティーズ』
自動車に関しては運転技能習得の段階でコテンパンに懲りつつも、「運転する」とは別のしかたでまたお近づきになれないかと模索を続けていた。「そういえば、たぶん社会学的に自動車を分析した研究があるはずで、それを読むのはどうだろうか」と思いついて読んだのがこの本。
いろいろなテーマやアプローチの論文をまとめた論文集で、ざっくり手前のページにほど形而上、読み進めるほど形而下の内容になっていく、と言った傾斜があった。
個人的に面白くて印象に残った、……というか何を言っているのか比較的わかってきたたのが真ん中あたりの「自動車の三つの時代」(ガードマン)という論文。消費者は差異を記号的に消費するのだ!みたいな消費社会論の話があるじゃないですか、その観点から自動車を捉えて、歴史的にこういったデザインや機能のバリエーションが生まれましたよという話をしていた。社会学のパーツとして自動車を見るのではなく、ある社会学的な視点から自動車の発展史を記述した、というふうな矢印があったのもわかりやすさの一因だったでしょう。
『ヒッタイト帝国』
ヒッタイト帝国 | 津本 英利著 | 書籍 | PHP研究所
最近ヒッタイトについてのYouTube動画をよく見るのだが、まあ動画だけじゃなく本も読むかと思い、そこで紹介されていたヒッタイトについての日本語で書かれたおすすめの本を読んでみた。
エンタメ的な面白さがあるわけではないのですが、文献資料を引用したり、研究史に触れたりしつつ、とてもまっとうにヒッタイトの概説的に語られている。歴史学そのものが好きか、ヒッタイトが好きかじゃないとなかなかおすすめできない本ですが、僕は後者だったので楽しく読めました。
興味本位の読者という立場から傲慢にも、ちょっとだけ注文を付けるとすれば近隣だったりほかの、中国とかエーゲ海とかの文明と比べてヒッタイトがこういう国だったんだという、比較して特徴を際立てるみたいな記述があるとうれしかったかなと思った。
たぶんアカデミックな正確さのための禁欲だと思うのですが、基本的にはヒッタイトのことだけが書かれている本であり、ではざっくりヒッタイトとは何なのかということを自分の中で納得するには、またちょっとほかの勉強が必要そうなのである。
『ルイ・アルチュセール』
個人的名前がかっこいいと思う哲学者ランキング第2位*1がアルチュセールである。なので昔『マルクスのために』を古本屋で買ったことがあり、いまも探せばどこかにあると思うのだが、当時は数ページ読んで何もわからなかったのでそれ以上は読まなかったという記憶がある。
で、もう10年ぶりくらいになんとなく「アルチュセール」と書かれた本を手に取ってみたのですが、相変わらずなにを言っているのかよくわからなかった。😊
まあ~、こういうのは何度も、忘れたころにトライするのが大事だと思うので頑張りましょう。一応昔とは違った点としては、この本、けっこうスピノザの話が出てくるのですが、
スピノザと言えばこのようなグラフで言う「完全に理解した」の位置まで昔行ったことがあるので、その周辺の記述はまあ意味が取れないこともなかった気がする。
*1:1位は偽ディオニシオス・アレオパギテース。