シュガーソングたち

 

 甘いものはあまり好きではないのだけれど、「Sugar」の語がタイトルに入る曲はとても好きである。今日はそういうシュガーソングのなかから、お気に入りをすこしだけ紹介していきたい。

 

 最初はThe Lightning Seedsの「Sugar Coated Iceberg」ですね。専門的には「ブリットポップ」という潮流に属するバンドの、これぞブリットポップって感じの曲で、僕はとても好きなのですが、……ただ、いまの世界のシーンを考えるにブリットポップっていちばんダサい部類の音楽なのでは? という懸念もあってあまり好きを表に出せていない。

 Sugar Coated Iceberg(糖衣にくるまれた氷山)というイメージに乗った、ファニーで透明感のある歌と、ドラマティックに展開するメロディーが素敵。好きです。

 

 「Sugar」とつくお気に入りの歌、といえばこのModest Mouseの「Sugar Boats」を忘れるわけにはいきませんね。じゃかじゃかしつつもどこかインテリなModest Mouseは、めちゃくちゃ好きではないバンドのなかではかなり好きで、いつかはアルバムを集めて聞いてみようと思っている。……いま単曲でYouTubeで流している感じでは、この曲が一番初めに好きになったかも。

 (どうもファンアートらしい)このディズニー風のミュージックビデオも非常に良くできている。

 

 Harry Stylesさんの「Watermelon Sugar」は、以前にもちょっと触れたのだけど、いい曲すぎていつ聞いてもすぐにまた聞きたくなるし、聞いたあとはいつのまにか頭のなかで口ずさんでしまう。

 「Watermelon sugar high」と連呼するサビの部分のけだるさがとても美しく、重なる声も非常にきれい。けだるく聞くには全体として音数が多いような気もするんだけど、それぞれの主張がつよいというよりは、波のように同期する感じで、とってもリラックスできる。

 

 僕が古くから愛してやまないスウェーデンのドリームポップ・バンド、Shout Out Loudsの「Sugar」を加えることでこのシュガーソング集はさらに魅力あふれるものになるでしょう。

 イントロのはかない泡のようなシンセサイザーのリフレインがまさにザ・このバンドって感じで、曲はその世界観に乗っかっていくことで一貫している。エモーショナルで批評的にはやや無防備、という気もするけれど、青年期にはまってそのあとも好きで聞いていくのなら、こういうエモーショナルな厚みのある曲は良いものである。

 

 そしてシュガーソングというなら僕の人生でこの曲を外すことは絶対にできない。フジファブリックの「Sugar!!」は、かっこ悪いけれどひたむきに生きていきたかった高校生のころの僕のハートに深い爪あとを残し、それはいまだに癒えていない。いまだに聴くと涙ぐむほどだ。

 とてもエモーショナルなのだけど、曲のつくりはどこか平熱で、そのアンビバレンスがほかになく魅力的だ。「全力で走れ」なんて歌うけれど、本当に全力で走るのが正解なのかなって不思議な客観視があって、それを飲み込んだうえで全力で行く、そういう結び目が感じられる、深みのある曲だと思う。