地球にとって月は

 

地球にとって月は
音が出るただの玩具
重力の手を伸ばして
届くぎりぎりの距離

 

月にとって地球は
はるかなブルーのあこがれ
昨日のことのような別離を
等間隔で繰り返す

 

さあここで別れなさいと言われて
取り囲む宇宙船団は涙した
植民の夜の遥かな試みを
冷酷な一瞬ではじめないといけない

 

僕たちにとって母星は
苦しい大気に包まれた
ひとつではないはずの真実
僕たちにとって月は
裏側をこちらに向けて
二度と笑わない兄さん