短歌 16

 

口の端汚して僕は飽きていてあとは捨てられるだけの水あめ

 

 

ほほえみを浮かべ林檎を切る母の林檎の芯のひとつの抵抗

 

 

ハンガーにかかったままでジャケットは彼の流儀で神に仕える

 

 

僕もまた上裸となって恋猫の夜のみだらな鳴き声を聞く

 

 

7月に異動があるって言われてる6月のなにもしない休日

 

 

幽霊にとりつかれているアパートだ 昼間の方が真っ暗になる

 

 

雪見鍋 こういう風に歴史から身を隠していて優しく生きる