引用句のまとめ

 

 このブログではこれまでいろいろ好きな文章の引用をしてきたが、そのなかでも特に好きなものをまとめます。

 

自分でも意外だった。国旗で身を包んだあの酔っ払いの人種差別主義者のチンピラ……あいつらが、なんと、ぼくの同類だったのだ。そしていっしょに試合を観ていた善良でリベラルな友人たちは同類ではなかった(そうだと思っていたのに)。

『世界の作家32人によるワールドカップ教室』

こぶのようなもの~ニック・ホーンビィ『ぼくのプレミア・ライフ』~ - タイドプールにとり残されて

 

ラブ・レターには二種類ある。最初の三語を書いてもまだ思いを口に出せないなら、どこまでも書きつづけること。

リチャード・パワーズ『ガラテイア2.2』

ラブ・レターには二種類ある - タイドールにとり残されて

 

「もしすべてを明かしたら、すべての感覚を明かして理解を求めたら、自分が自分であることに関する、何か大切なものをなくしてしまう。他の人が知らない何かを君は知ってなきゃいけない。君について誰も知らないことのおかげで、君は自分について知ることができるんだ」

ドン・デリーロ『ポイント・オメガ』

ラディカル秘密主義 - タイドプールにとり残されて

 

 オランナがまだ話し終えないうちから、オケオマは首を横に振りはじめた。「俺は兵士だよ」
「まだ書いてるの?」とオランナが訊いた。
 彼はふたたび首を振った。
「でも、私たちのための詩はあるのよね? 頭のなかに?」そう訊ねる声が、オランナの耳にさえ絶望的に響いた。

チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ『半分のぼった黄色い太陽』

朝ドラ~チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ『半分のぼった黄色い太陽』~ - タイドプールにとり残されて

 

ぼくの呟いた意識的な言葉を、祈りとよべるだろうか? ともあれ、ぼくは聞き手を神とよんだ。神よ、僕は二十三歳です。できるだけよくやってゆきたいんです。

フィリップ・ロス『さようなら コロンバス』

つきあいはできても理解はできない~フィリップ・ロス『さようなら コロンバス』~ - タイドプールにとり残されて

 

 ほぼ三十年がたった今、初版のすべての話を読んでいると一六四頁の「a」の文字の上にふり忘れられたチャールカが、私の心をなによりも揺さぶる……。もはや、他のものはことごとく、感動を失ってしまった。読書による喜びだけが残っている。

オタ・パヴェル『ボヘミアの森と川 そして魚たちとぼく』の、あとがき

絶賛しておすすめしたくはない理由がある~オタ・パヴェル『ボヘミアの森と川 そして魚たちとぼく』~ - タイドプールにとり残されて

 

 よし。今日もきれいにまとまったな。

 

むかしのまとめはこちら: