冒頭ポエム

 

 「さびしさは鳴る」とか「完璧な文章などといったものは存在しない、完璧な絶望が存在しないようにね」とか「それはすべての時代の中で、最良の時代であり、最悪の時代でもあった」といった感じで、小説のはじまりの文章に、ポエムなものを置く、……というやり方を(やや否定的な文脈で)「冒頭ポエム」と呼ぶらしい。

 たしかに、言われてみればこういう感じで始めるのってあるな~と思ったし、それに名前がつくことで言及しやすくなるので、「冒頭ポエム」っていい概念*1だな~と思いました。

 

 あと、自分で何かを書くときも、今回はシンプルに描写からはじめて大丈夫だろう、というときと、いや~一発カマしてから始めてえな、と思うときがあるな~と思ったものである。

 

 というわけで今回は自作の冒頭を振り返ってみて、冒頭ポエムをしているものがどれだけあるかを調べていきたい。分量的にちょうどいいので、対象はpixivのAqoursSSにします。

 

1.片想いの記念に

 これはポエってないですね。

 

2.マルのプレイブック

 これは、特殊オープニングなので何とも言えないですが……、でもポエムではないかな…。

 ただ、カマしてるかカマしてないかで言えばかましているのには間違いはない。やっぱり、制作側のテンションも違ってくるので、カマせるときはやったほうがいい気はしているんですよね。

 

3.空気より重くて、水より軽い

 これはポエムなんですが、またこれもちょっと特殊で、ずっとこの感じで半分ポエムのように最後まで続いていくんですよね。冒頭にそれ以外の散文とは違ったポエムを置く、という「冒頭ポエム」の趣旨からすると、ちょっと外れてしまうかもしれない。

 

4.ダイヤさんに叱られたい千歌ちゃんの話

 これはポエムですね、大丈夫でしょう。……ただ、正々堂々とポエムしているわけではなく、ちょっとギャグ寄りの置きかたにはなっていると思うのですが、でもポエムです! 間違いない。冒頭ポエムキター!

 これで私の冒頭ポエム指数は0.25になりました。

 

5.午前2時の希死念慮

 セリフから始めるというからめ手を使ってはいるが、とてもまっとうな冒頭散文ですね。まったくポエムではない。

 

6.レイン・ダンス・マリーの冒険

 これも完全に散文。

 傾向性としては、ゆっくり立ち上げたい内容の場合は基本的には冒頭ポエムは選ばない、という感じになっている気がする。

 

7.おやすみなさい

 これも違う。

 「冒頭ポエム」の話を見かけたとき、俺もやってるやってる笑と思ったけど、やってる時の印象が強いだけで意外と頻度的にはそうでもないのかもしれない。

 

8.蜜柑をむく話

 違いますね……。冒頭ポエム指数は0.125にまで低下。

 

9.アルバムの空白に

 0.111111111…。

 

10.バランス

 あー! たしかに()部分は違うんですけど、「17才は、なんにでもサインを見出したくなる年齢だ」これは完全にポエムでしょ!

 直後にかっこに入れて一歩引いているが、冒頭ポエムでかましたい!を行ったアプローチだったことに恐らく違いはない。問題は2文目なので、冒頭と言えるかどうかですが、……これは()部分をアバンとみなして、その次の「17才は~」を冒頭ポエムと認定しても趣旨上OKでしょう。

 

 というわけで今回の個人的冒頭ポエム指数は0.2でした。みなさんも、冒頭ポエム指数を計ってみてくださいね。

*1:揶揄の意味で使われていることが多いようだが…。あんまり悪く言いすぎることもないと個人的には思います。