ラブ・レターには二種類ある

ラブ・レターには二種類ある。最初の三語を書いてもまだ思いを口に出せないなら、どこまでも書きつづけること。

 リチャード・パワーズという英語で書く作家の小説、『ガラテイア2.2』にこのような一節がある。これを使って、世界でいちばん短い国語の問題が作れるのではないか、と考えたことがある。

 

つぎの文章は、英語で書かれた小説の一部分である。読んで以下の問いに答えよ。

ラブ・レターには二種類ある。最初の三語を書いてもまだ思いを口に出せないなら、どこまでも書きつづけること。

問 下線部「最初の三語」とは具体的になにを指すか、答えなさい。

 

 けど、読みかえしてみると、そううまくはいっていないような気もする。読解力を問う問題であるなら、答えは本文のなかに書かれていなければならないはず(と言われている)けれど、この問題の答えは(英語なので)もちろん本文には書かれていない。

 

 本文に答えが書いているわけではない、のだけど、答えが分かったひとはその答えが正しいということは確信できるだろうと思う。本文に答えが書いていなくても正解はあって、確実にそうだとわかるのである。実際に答えが分かったひとは同意していただけると思うが、この問題の答えにはバリエーションがあって、すこし無理やりなものも含めたらだいたい3個か4個くらいのちょっと違う、けれど解答になるという点ではおなじ解答を思いつくことができる。

 

 ではわかる人とわからない人の比率はどれくらいだろうと思って、Twitterでアンケートを取ってみた。

 

 僕のtwitterには平均より頭のいいひとが多いと思うので、真の正答率はだいたい50%になるのではないか、と予想している。もしそれくらいの正答率であれば、国語の問題としては不適切でも、国語クイズとしてはいい問題だと言えるのではないか。

 

 答えが本文に書かれているわけではないクイズというのは、ラブ・レターとおなじで、ぱっと答えを言ってわかってもらえなければ、答えについてどこまでも説明しつづけなければならない。その中間はない。

 僕はもともと自分が出したクイズの答え合わせをするのが好きじゃなく、今回のクイズの場合はクイズの文章自体が逃げ道を与えてくれているので、とりあえず、ここに答えは書かないことにしておきます。