聞くとお酒が飲みたくなってしまう音楽というものがある。音楽そのものに催酒性があるわけではなく、ただ僕が、お酒を飲みはじめ、溺れることの快楽を知りはじめた時期にたまたまずっと聴いていた、というだけのことであり、ベルを鳴らしつつ餌を与えられた犬が、餌を与えられないままベルを鳴らされてもよだれを垂らしてしまう、というのとおなじことである。
そういう音楽は僕にはいくつかあるが、Shout Out Loudsの「Fall Hard」がそのうちのかけがえのないひとつである。スウェーデン、ストックホルム出身のバンドで、いかにも北欧という感じの透きとおっていてポップなロックをやっている。
ご存知の通り、北欧というのはお酒の聖地であるし、透きとおった音色はお酒の透明度を思わせる。お酒というのはもちろん人々のあいだでポピュラーなのでそれはポップミュージックに通じるし、ロックというのはお酒に浮かべる氷のことを指している。
緊張感のあるイントロはもちろん催酒性があるし、その後ろで三回和音を鳴らすギターももちろん催酒性がある。迫ってくるベースの刻みも催酒性だ。
Fallin' into a postcard
Fallin' in loveAnd if you fall hard, I fall harder
'Cause if you fall hard, I fall harder
ポストカード酒に落ちていくよ
酒と恋に落ちる君が飲むなら、俺はもっと飲むぜ
君が激しく飲むから、俺はもっと激しく飲むぜ
サビの手前からそれにいたる歌詞を翻訳するとこのようになる。このリフレインが続くが、やはり「I Fall harder」の部分でめちゃくちゃ飲むのが最高に気持ちがいい。I Fall harder。
記事にするにあたってふざけてしまったが、Shout Out Loudsははじめて好きになった海外のバンドのひとつで、やっぱりこのあたりの曲をひさびさに聴いていると目頭が熱くなって酒が抑えられない。
こちらの曲は、なんとなくへんな日本リスペクトPVになっている。なんとなくへんな日本リスペクトPVはロックの分野では珍しくない。こういうのを収集するのが趣味みたいなところがあるので知っているひとがいれば教えてください。
Jumbo Jetは間違いなく名曲でしょう。なんとなくこのバンドのイメージから外れた赤っぽい色を中心にした映像も素晴らしい。メンバーの数ぶん画面を分割するPVはたまに見かけるけど、どれもすべて良いですよね。