dEUSというベルギーのロックバンドがある。1991年に結成され、まだ解散せずに活動を続けている*1安定感のあるバンドである。王道からはちょっとだけ外した、だけどもそれを言い訳に質を下げることのない、それぞれにコンセプトがはっきりしていて非常にクオリティの高い音楽をリリースし続けている。バンド名が大きすぎて*2検索がしづらいということを除けば文句の付けどころがない素晴らしいバンドだと思う。
僕は両親がベルギー人であり、僕自身も小学校まではアントワープに住んでいたこともあって、dEUSの曲には昔から親しんできた。いくつか印象的な楽曲を紹介したい。
こちらが1stシングル。イントロの印象的なヴァイオリンに始まり、乱雑なコール&レスポンスのようなAパート、一転してリリカルになるBパート、と今一番自分たちがいいと思っていることを全部やりました、という初期衝動感がある。PVでは男二人が手をつないで歌っているので、かなり強めのブロマンス・エモーションを感じることができる。
曲の内容の作りこみも多いバンドだと思うけど、PVも毎回かなり凝っている。これはロードサイドの底辺パーティー若者コミュニティにもしイエス・キリストが現れたら?というコンセプトで製作された映像。キリストが奇跡の力で若者たちの支持を獲得し、コミュニティの中心人物になっていくが、あるパーティーでの出来事を境にそれが崩壊していく、という物語がかなり良い。同じものをポール・トーマス・アンダーソンとかが撮っていてもおかしくないんじゃないか?
2012年のアルバムではキャリアの集大成のようなこんな名曲を作っている。音数が多くてめちゃくちゃ作りこまれているはずなのに、いい意味で肩の力をぬいて聞くことができる。まさに「This is what the good song is」という感じですね。歌詞も緩やかな多幸感があって大好きだ。
And i love to see you walk
Under this clear starry night
If above is where we look
Down here is where we find
On the beach we never seem
To end a dream like this
This is what the good life is
澄んだ星空の下
君が歩いているのを見るのが好き
上を向いて探せば
すぐここに見つかるね
ビーチで僕らは決して
こんな夢を終わらせたいなんて思わない
いい人生だよ、これは
曲のタイトルになっているSoft Fallとはなんだろうと思って画像検索してみると、次のような画面が出てきた。
ちょっと予想外のサンプルテクスチャのような画像がしかも同じテイストで何枚も出てきたので「???」となったけど、さらに調べてみるとこのようなことだと分かった。
なるほどね。これをSoft Fallというのか。たしかに知っているしどういうものかひとに伝えることもできるけど、そういう名前があったとは知らなかった。これはかなり美しい。なにが美しいのかというと、地面が柔らかいってことじゃなくて、落ちるものが柔らかく落ちるっていう、落ちるもののほうに視点を置いたネーミングが美しいんだと思います。