段ボールが運び込まれるまえの何もない部屋で

 

段ボールが運び込まれるまえの何もない部屋で
僕は指先の運を試していた

部屋の◇の頂点からもうひとつの入り組んだ終端まで
試してみたのだ
一度うねるだけの線で行けるかどうかを

僕の人生の3次式が
この部屋のどこかと交点を持ち
床をじっとりと濡らす前に
なにか炸裂する残骸を重ねて
あらかじめ守っておかなければいけない
僕にとっての毎日が
それで窮屈になっても構わない
空間を守ることができれば

(なぜなら
次に広い部屋に引っ越しても
どうせ使えないもので埋まるだけだ)

 ◇

配管を覗いてみた
容疑者はそこに
隠れていた

埃たちと新しい街の日差しと鳴り響くドアホンによる
灼熱の抱擁を
受けて