大脱出
藤井健太郎プロデュースのDMM TVオリジナルバラエティ『大脱出』 2月22日から配信開始決定!|合同会社DMM.comのプレスリリース
「大脱出」というバラエティ番組を見ていた。さまざまな過酷な条件下に置かれたお笑い芸人が、脱出を目指してミッションに臨むという内容。
キービジュアルになっているクロちゃんは文字通り手も足も出ない状況だが、ほかの人たちはクイズが壁に書かれた部屋に監禁だったり、内側から食べないと出られないお菓子の家だったり、比較的人権はある仕掛けである。
クレジットのいちばん上に書かれている名前は藤井健太郎、ふだんテレビをほとんど見ない*1僕ですが、この人の名前は知っていますよ。水曜日のダウンタウン*2の人ですね。実際に、この番組も水曜日のダウンタウンの芸人を過酷な状況に置いてそれを見て楽しむ系の企画とかなりテイストがそっくりである。
これが見れるからDMM TVに加入しよう…! とまではならないかもしれないが、水曜日のダウンタウンの芸人を過酷な状況に置いてそれを見て楽しむ系の企画*3が好きな人たちには楽しめる番組だったのではないでしょうか。
個人的に好きになったのはトム・ブラウンのみちおさん。きたない裸の男クロちゃんを抱擁したときや、電流に自ら率先してあたりに行ったところなど、信頼できる男なんだろうな、という感じがした。海賊団なら船長にふさわしい器だ。
ソンにも興味があるらしい
🚨BREAKING | Saudi club Al-Ittihad are set to make an opening bid in the region of €60M + bonuses for Heung-Min Son.
— Last Word On Spurs (@LastWordOnSpurs) 2023年6月19日
🇰🇷Son has been offered a four-year contract worth €30M-per-season.
🇸🇦There is some optimism that Son player could be persuaded to join.
⚠️However, Tottenham… pic.twitter.com/12kou3DqMg
中東方面の動きがすごい。もちろんいままでも、有名選手がキャリアの最終盤を過ごす場所として存在感はあったのだが、もう今回のストーブリーグでは、世界的名手だけどまあキャリアの山場は超えたよねみたいな選手にまでことごとくオファーが来ている印象がある。
いまはやはり「サッカーの中心地」という、いっちゃえば既得権益という大きすぎる既得権益があるわけで、やはりまずは最高の選手はUEFAに、というのはしばらくは動かないだろうけど、……でも10年後はどうなっているだろう、という感じがある。
もっと、直近で心配なのは、これがヨーロッパサッカーのFFP(フィナンシャル・フェア・プレー)規則に影響があるのではないかというところ。ざっくりいうと、スポンサーのお金が無尽蔵にあるからと言ってじゃぶじゃぶ使うのはダメで、あくまで「サッカーチームとして経営を成り立たせるための投資」としてお金を使いましょう、後で回収を望めないお金を使うのはダメですよ、というルールなのだが、言っちゃえば、中東にとってはこれはヨーロッパのローカルルールなのである。
中東諸国が今までにも増して選手を買い集めるのであれば、ヨーロッパサッカーのプレゼンスを守るために、こっちもFFPなんてしている場合ではないのではないかという話は出てくるだろうし、実際それで得するのは中東の国家資本が入っている西欧クラブなので、中東にとってもそれはありがたい展開になるはずである。
一方、FFPが機能することを前提に長期プランを立ててきたスパーズにとっては厳しい展開になる。また、マドリーも、とくに長期プランはないと思うが、簡単に身売りできない伝統のあるクラブのためこれもまた厳しい。
……という思いを持ちながら、昨今の中東からの攻勢のニュースを見ている。
『生半可版 英米小説演習』
1840年代から60年代にかけてアメリカ文学は華々しく開花する。もちろん、華々しく、というのは後世から文学史的に振り返ればということで現在巨匠とされる人たちも、当時は無理解や貧困に苦しんだりしたわけだが(風丸良彦の『カーヴァ―が死んだことなんてだあれも知らなかった』にならえば、メルヴィルが死んだことなんて本当に「だあれもしらなかった」のであり、それでもまあ畳というかベッドの上で死ねただけましで、ポーなんか野垂れ死にだった)、それはともかく、文学史の望遠鏡で振り返るなら、この19世紀半ばの20年間は、すぐれた書き手、思索家たちが、いっせいに自分の心の中を凝視し、そこで目にしたものを通して、世界の本質やアメリカの未来に思いをはせた時代であった。
という本を読んでいた。名翻訳家である柴田元幸による、数ページごとに1冊作品を取り上げてそれについて語る、ショート・エッセイ集といった趣の本である。
「英米小説演習」という厳つい題がついていて、実際に原文の抜粋と柴田元幸による翻訳例がついていたりするのだが、まあその辺はおまけとして、その辺は飛ばしてもブックガイドみたいな形で気楽に面白く読める。*4
文章の抜粋と、それについてのトークが面白くてどんどん読めてしまう。文章とか文学の広い世界が好きで、海外文学にちょっとでも興味がある方にはだれでもおすすめできます。
ここで興味を持ったとしても、選本がマニアックであまり翻訳がない……、という事態に刊行当初(1998年)はなっていそうだが、いまは2023年。実は意外とどの本にも翻訳があったりするので、次に読む面白そうな本を見つけるために読むというのも良いのではないでしょうか。
個人的に面白かったのは、当時出たばっかりだったらしい、トマス・ピンチョンの『メイスン&ディクスン』についてのお話。
情けない話で恐縮ですが、ピンチョンの新作『メイソン&ディクソン』を読みはじめてまず思ったのは、「世の中には僕の知らない単語がまだまだたくさんあるんだなあ」ということだった。(…)そうかquaquaversalなんて単語がこの世にあって「〈地層が〉中心から四方に向かって傾斜するという意味なのか、とか、tohu-vadohuはtohu-bohu(ヘブライ語起源で、「混沌、混乱」の意)のバリエーションなのか、とか言ったことにいちいち感心し(…)
みたいなことが書いてあって面白かったです。「いずれは日本語訳も出るのだけど、いったいこんなものだれが訳すのやら」みたいなことを最後にぼやいて終わるのも良かった。あなたです。