短歌 60

 

たいせつな恋人である 自動車に自動車保険がついてるように

 

 

マシュマロを黒くなるまで火のなかに忘れててきみはえらそうな人

 

 

秋の夜マンガを読んでいるうちにすこしずつ終わりゆく大学院

 

 

君のいるキッチンでいまも食器から滴っている水のきたなさ

 

 

諜報はここでおしまい 夕暮れの色がカンバスの木々に溶けて

 

 

けどほんとのことは言えないままでシャワー室 体の前に頭を濡らす

 

 

音のないお別れでした 歌詞カードみたいに大事な人だったのに