「夜縛◆夜明曲」 エロ良かった

 

f:id:kageboushi99m2:20220318230012p:plain

 

 「夜縛◆夜明曲」(よしばり◇オーバード)というマンガを読んでいた。昔彼女に1回おすすめされていたことがあり、最近マンガアプリでマンガを探していたら「おすすめ欄」にこれが表示された。一定期間のあいだに2回認知した作品は履修をとりあえず検討する、という自分ルールがある*1のでAmazonのページを見た。

 

 すると、「ナナとカオル」以来の衝撃!と書いてあるレビューがあったので、期待が高まった。

 

 16歳の誕生日に吸血鬼としての血に目覚めた晴臣*2くんが、間違って幼馴染の春角由愛をゾンビにしてしまう。由愛をもとの身体に戻すため晴臣くんはいろいろ動くのだが、その結果、学校の「推し女神投票制度」に反対する「対校派」や、怨念たち、そして生徒会との戦いに挑むこととなる。最終的にはプロレスバトル漫画になる。

 ……というお話。一貫してずっとエロ漫画である。

 

f:id:kageboushi99m2:20220318234718p:plain

 「返せよ! 俺たちの日常を!」というシーン。気持ちはわからなくもないけど、その前に自分の自制心のなさをちょっと反省してもいいのでは?と読者は思うと思われる。

 

 最初のころは、えっちなシーンも読者をつなぎとめるティーザー程度しかないのだけど(それでもフェチ度はすごいが)、ストーリーの進行に合わせて質・量ともに爆増していく。

 

 たんに絵がきれいなのでただエロいというところもあるのだが、繰り出してくるシチュエーションにもフェティッシュな深みに裏打ちされた説得力がある。とても良かったです。個人的には、生徒会長とのバトルに負けて校内での二足歩行を禁止されるヒロインのくだりがやばかった。

 

f:id:kageboushi99m2:20220318235817p:plain

 これがメインヒロインで、戦闘も彼女が担当する(男は見ているだけである)。戦闘もピンチ→仲間が来たり奥の手を出したり気持ちをふり絞ったり回想したりして再起→ピンチ→仲間が来たり奥の手を出したり気持ちをふり絞ったり回想したりして再起をリズムよく繰り返す鬼滅スタイルで、不覚にもちょっと面白かった。

 

 とくに戦闘では強い人と弱い人がシビアに描き分けられてて、弱い側のキャラは自分のできることの限界を意識しながら、それでもチームに最大限貢献しようと戦うのだけど、その様子が丁寧に描かれていて胸をうつ。*3

 エロいと感受性が励起されちゃって、ちょっとしたことで良さを感じる、という効果もあると思うんですけど、それを差し引いてもなんかふつうに読めるお話になっていた。

 

 登場する女の子キャラたちもみんなかわいく、キャラ設定や描かれかたも現代的でストレスがなかった。とくに「アンチ学校派」ギャル連の親分はとてもいい子だった……。

 

f:id:kageboushi99m2:20220319001029p:plain

 1~9巻が既刊で、これで完結している。ストーリー的には「世界大会編」の伏線を残しているので第2部もあるかもしれないが、エロ的には相当過激な描写を最終話に向けてめためたにやっちゃったので(思い出作りのように雑に、ハードなことをやっていて凄みがあった)まあここで畳んで、続きは機会があれば、みたいな終わりかたなのかもしれない。

 

 新作になるにせよ、続きがあるにせよ、RANさんのつぎの作品が楽しみだなと思う傑作エロ漫画でした。よっぽど見ないとは思いますが、このジャンルに共感出来るかたがもしいたら読んでみて下さい。

*1:この回などでも発動した。「おませちゃんブラザーズ」、いいね👍👍 - タイドプールにとり残されて

*2:名前が「晴臣」なので、エロコメディあるあるの無個性男メインキャラが嫌いな人も、脳内で細野晴臣に置換して読むことができるのでストレスがたまりにくい。

*3:弱いキャラを戦線離脱させたり、なんか適当なパワーアップを与えるバトルストーリーより、弱いキャラの「弱さ」に向き合って、ではこのキャラになにができるのかってことをちゃんと考えてあげている作品好きです。