「ジョジョの奇妙な冒険」や「HUNTER×HUNTER」を思春期の原体験にしてその後の人生を生きていると、「もし今後『能力』を身につけたら、なんらかの『作品』からタイトルを引用したいな…!」とつねに思って過ごすことになる。
僕もそういう目線でいろいろな文学作品に触れてきたので、今回は個人的に思った、能力バトルの「能力名」にするとかっこいい文学作品をいくつかあげていきたい。
ブラッド・メリディアンBlood Meridian
まずはコーマック・マッカーシーさんのこの作品を外すわけにはいかないでしょう。シンプルな2単語、というのは「能力名」としてとてもおさまりがよく、さらに「ブラッド」がつくのがいかにも強そうである。その次のワードMeridian(子午線)が詩的かつ直接的には戦いを連想させないのもいい塩梅だ。
ウインドアイWindeye
さっきの「ブラッド・メリディアン」が殺傷力高めの良い戦闘用能力だとしたら、こちらは探索に便利な能力というところでしょうか。壁に目のような穴が浮かび上がって敵を見つけ出す、――とかだと元ネタとなるブライアン・エブンソンさんの短編小説ともかみ合いが良くて素敵かもしれない。
クラウド・アトラスCloud Atlas
デイヴィッド・ミッチェルさんも「能力名」として使えそうな味のあるタイトルの小説を書く人ですよね。デビュー作のゴーストリトゥンGhostwrittenや、近作ボーン・クロックスBone Clocksも捨てがたいけれど、いちばん有名なこの作品がやっぱり一番いい。オールマイティになんでもできそうな、頼れる能力って雰囲気である。
ブライズヘッドふたたびBrideshead Revisited
イーブリン・ウォーさんからはこの作品を推したい。英語をそのまま読むとちょっと日本語としては語呂が悪いので、こちらは天才的な語感の日本語訳タイトルをそのまま能力名にして、分身したり、過去に戻って当時の自分と力を合わせてなにかするみたいな能力にあてるとどうでしょうか。運用するにあたって、名前をブライズヘッドに改名するのは必須なのでしましょう。
スロー・ラーナーSlow Learner
トマス・ピンチョンも能力映えする小説タイトルの宝庫である。重力の虹Gravity's Rainbow、アゲインスト・ザ・デイAgainst the Dayあたりはもちろん、競売ナンバー49の叫びThe Crying of Lot 49なんらかトリッキーな立ち位置の名前として出てきそう感凄いですよね。ヴィV.とかはもうBTSだからな。
そんななかでも「スロー・ラーナー」を一押しとしたい。能力バトルものでは欠かせない「コピー能力」、これ完全に「スロー・ラーナー」じゃないですか?
スロー・ラーナー、ふつうの英語だと学習にハンディキャップがある人とか単に上達が遅い人といった意味があるらしいのだけど、それを能力名にした、一見うだつが上がらなそうな「能力者」が、どんどん能力をコピーしていって手が付けられない作中最強キャラになるくだり、あるとおもいます。……非常に見てみたい。
ほかにもこういうかっこいいタイトルの本があるよ! というのを知っている人がいたらぜひコメント欄で教えてくださいね。