「つぐもも」というマンガをたのしく読んでいる(既刊は29巻で、いま11巻まで読みました)。主人公の男の子と、その男の子が大事に持っていた「帯」の付喪神「桐葉」が、人間の弱い心に付け込んで悪さをする悪い付喪神「あまそぎ」を退治するために頑張る、という現代伝奇ファンタジーバトルマンガである。
……というふうに説明すると完全に遺漏がある。*1上記したのとは別にこのマンガにはもうひとつジャンルがあって、それはエロコメディであるということ。
いちおう本筋の話はあるのだけど、その合間を縫って、すべての空きコマを無駄にすることなくエッチな展開を描いている。「To LOVEる」みたいな感じですね。
あくまでエロコメディで、ラブコメではないので恋愛要素はすくない*2。単に、セクシャルなシーンがからっとある話、僕は最近とても好きなんですけどみなさんはどうですか? もし好きだったら「つぐもも」はいい選択肢になると思います。
絵はこんな感じできれい。最初のころはそうでもないのだけど、どのキャラも読み進めるうちにかわいくなってくる。……「最初はそうでもない」というのは平均点の話で、
最初のころでも、丁寧度合いのあるコマはとてもかわいい。なので、これから「つぐもも」を読み始めて、絵で見切ろうかなと思った場合はちょっとこらえて、やや長めに猶予期間を持ってほしいなと思いました。
あと意外と話も面白い。このジャンルだと、「お話なんて適当でいい!」と開き直ってもいいと思うのだけど、そうではなく丁寧に作られている。
「付喪神を自分たちが破壊してしまうと、取りつかれた人間に呪いがかかってしまう」という設定があり、なので戦闘では「相手を説得して自ら付喪神を捨てさせる」ことを最初は目指すのだけど、これがバトルにたんなる力比べや思いの強さ勝負ではないあやを生んでいる。
この設定以外にも、それぞれのストーリーに合わせたひとひねりがどのお話にも入っていて、まるで退屈することがなく読めます。*3
あとなにより、なんかこのマンガ描いてて楽しそうなのがすごくいいんですよね。ストーリー部分もキャラデザインも、世界観の広げていきかたも、セクシャル部分も、プレッシャーなく自然にやっているように見えるのである。いい意味でストイックさがないというか……。
毎巻末尾にあるあとがきでは「そういえば6巻と違い7巻ではエッチなシーンが減ってしまいました。次の巻ではもっと頑張りたいです」とか「とうとう『夢枕』編が終わり、男女反転が解禁になりました」とか「コラボをさせていただくことになりましたが、ひとさまのキャラを勝手に脱がすのはどうかと悩んでいたところ、私の作風を理解したうえで快く許可をいただき○○先生ありがとうございました」とか、もうシンプルに「出てくる女子キャラは全員脱がしたいです」というように、エロ部分のことに毎回触れていて面白かった。
売るためとか、読者の興味を繋ぐためとかじゃなくて本当にエッチなシーンが描きたくて、そのことがつねに反省や決意として頭のなかにあるんですね。なんかすごく伸び伸びとしていて良いと思った。
ストイックなのもいいけど、やっぱり伸び伸びと制作された作品がいちばん好きだよ。12巻を読みます。