新型コロナウイルスのクラスター発生により、後ろ倒しで開催されたアウェー鳥栖戦。両チームにとって、前節から2日空いただけ、というサッカーをするにはかなり厳しい日程となった。「うちのチームの事情に巻き込んで申し訳ない」といった内容のことを試合前インタビューで語っていた鳥栖の金監督が印象に残る一試合であった。
鳥栖はメンバーを入れ替えて、札幌は一部主力メンバーをベンチ外として休ませたものの、リーグ戦を戦うメンバーとして違和感のない選手をスタメンにそろえてきた。鳥栖はDAZN解説陣の予想に反して、3バック+センターハーフ3名逆三角形+2トップの形、札幌はトップにFWを置きながらもマンツーマンで早く攻め切ることを志向する最近挑戦中のシステムを継続している。
札幌の守りかたに対して鳥栖は、札幌ボランチが出てきたスペースにボールを届け、迎撃しに来た札幌のマンツーマンディフェンスに対してはフリックで切り返す、みたいな攻撃を志向しつつも、無理そうなら無理をせずゴールキーパーまで返してロングボール、といった戦い方。札幌の攻めに対してはミドルゾーンでは中央のスペースを消し、ディフェンシブサードまで追い込まれたら5バックで撤退しつつ、札幌のWBに対してはSBだけでなくCHも1枚割いて対応する、という形だった。
しかし、5バックの前3枚が完全にスライドするという形でも、その前のFWのうち1枚が下りるという形でもなかったので、相手5バック前のハーフスペースですこし自由をもらえる局面が多かった。
札幌のサイド突破を警戒して2名がやや出てきてくれるので、色のついたあたりを使って攻撃を取りまわせる。戦える試合だな、という印象はあったと思う。
実際の試合ではトランジションの局面から駒井選手のまえがぽっかりと開いたところを、キャリアで一回あるかないかみたいな感じのスーパーミドルシュートで先制。「喜ぶのは勝ってからだ」と自制しつつも、それはそれとしてそうあるもんじゃない会心のシュート、喜ばないとちょっともったいないみたいなゴールだったのもあって、そのせめぎあいからへんな喜びかたになってしまったという、ゴール後の駒井選手の感じが良かった。
そのあともドゥグラス・オリベイラ選手からの見事なスルーパスをアンデルソン・ロペス選手が浮かして追加点、10試合ぶりの勝利をやっとあげることができた
……これがトンネルを抜けたことになるのか、それともうまくいかないシーズンのちょっとした息継ぎになるのかはこの試合を見ただけではよくわからない。ただ、これまでの数試合と違って、点に絡むスーパーなプレー(1点目が駒井選手のシュート、2点目がドゥグラス・オリベイラ選手の、視線と体の動きで外に出すと欺いてゴールに近いほうに入れるパス)がでたというのは良い兆候だと思っている。
つぎも楽しみにしています。