クイズ:上座はどこでしょう?

 

 Twitterでは「昼はラーメン、夜は鳥貴族、上座は俺が座る」人物が話題になっており、僕は個人的に就職を控えている。これはいいタイミングだ。どこが上座か下座か、というのは、TPOによって異なるうえに、あるときは直感に反していたりする。僕自身も、どこが上座なのかという自分の判断に毎回毎回自信があるわけではない。

 

 ということで、自分用に「上座はどこでしょう?」クイズを作ってみた。これを繰り返しなんども解いていたら、すこしずつ自分の上座判断能力も上がってきたような気がする。しかし、上座判断能力というのは使わなければ錆びついていくものなので、定期的に振り返って解きなおしたい。そのために、Web上に置いておくことにしました。チャレンジしたいかたがいれば、ご自由にどうぞ。解答・解説はまとめて下のほうにあります。

 

第1問:A~Lのうち、上座はどこでしょう?

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第2問:A~Cのうち、上座はどこでしょう?

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第3問:A~Dのうち、上座はどこでしょう?

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解答編

第1問

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 一か所だけ浮いているので、下座上座の知識がなくとも思考力で解ける問題だったかもしれない。中央で動かずとも、円形に配置された独房を一方的に監視することのできるAが上座となる。よってAが正解。

 一方、B~Lの座に収容された囚人は、実際にはAがよそ見をしているタイミングであっても、「いまちょうど見られているかもしれない」という怯えから、反抗的な行動をとることができず、そのためこれらは一様に下座となる。もし飲み会でこのような座席に通されたら、まよわず上司をAへ通し、自らは独房に入るのが良い。

 

第2問

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 答えはCである。選択肢を順にみていこう。

 まずAは5人の作業員が乗っている線路の上であり、トロッコに轢かれる危険性があるため上座とはなりえない。Bも条件は同様であるが、Aと違ってこちらにはひとりしかいないため、トロッコが向かってくる可能性はこちらのほうが若干高い*1と考えられる。ABどちらもまったくの下座であるのは大前提として、若干、Aのほうがやや格上の座席だと言えるだろう。

 一方Cは、自らがトロッコに轢かれる危険はなく、また、どちらの作業員を助けるか自分の判断によって決めることができる。その上、その判断を正当化するに至った理由を述べる機会も与えられている。この形をした会議室に当たった場合は、もっとも目上の人をCに座らせるのが正しい。

 

第3問

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 Aは第一身分(貴族)、Bは第二身分(聖職者)であり、第三身分(庶民)のCに課している重税によって豪奢な暮らしを保証されている。よって、AかBが上座である……、と、簡単に考えることはできない。このあとここではCによる革命が起き、AやBの一部は処刑されてしまう。

 そのことを考えると、この場合の上座はCだろうか? でもそうとも言えない。革命が起きてもCの暮らしは劇的に良くなったわけではなく、また、Cのなかにも「資本家と労働者」「多数民族と少数民族」「男性と女性」などといった無数の異なる座席が存在する。AやBのなかには幸運にも、歴史の変動のなかで自らの立場を守ったものもいるだろう。

 では、それらの面倒なランク制度に属さないDがもっとも上座なのだろうか? Dは我々をはるか地上に見下しながら、自由に空を飛ぶことができる。しかし、人間にはわからないだけで、DにはDの、従わざるを得ない自然界のルールがあるのかもしれない。

 この場合どこが上座でどこが下座に当たるのか。……2020年現在、マナー研究者のあいだでもいまだに答えが出ていない、未解決の難問である。これは読者への宿題としたい。

*1:どの程度高いかはCの考えかたに依存して決まる。