リバーブックスと『道具のブツリ』

 

 「リバーブックス」というちいさな書店が沼津にあると知って、行ってみた。「リバーブックス」という名前から狩野川沿いにあるのかなと思っていたが、川からはすこし離れていて、でも、世の中のほかの土地と比較すれば十分川沿いと言えるような場所にあるお店でした。

 

沼津駅からは歩いて15分ほどのところにある

 

 このお店ではクラフトビールが飲める、という情報を先に仕入れていて、「本」というよりは「ビールが飲みたい😋」という若干よこしまな気持ちで訪れたのですが、そんな僕でも本を選ぶ喜びをひさびさに感じることができたいいお店でした。

 

 店内は広くはないが、店主がセレクトしたさまざまな種類の本が並んでいて、また奥にはギャラリースペースがあって店主所蔵のいくつかのアート作品が展示されていた。本の背表紙やそれらのアート作品を眺めていると、ちょうどビール一杯を飲み終えるくらいの時間になるでしょうか。ビールを片手に買う本を選ぶという経験は初めてで、非常に楽しかったです。

 

道具のブツリ|その他|書籍|雷鳥社 Raichosha

 たくさん候補はあって迷いましたが、その中で選んだのが『道具のブツリ』というこちらの本。はさみとか、お盆とか、吸盤とか、身の回りにあるごく普通の道具がその機能を果たしているのはなぜなのか? という点を疑問とし、物理の基本的な道具立てを使ってそれを説明していく、という本である。

 

 シンプルに「へえ~、そうなんだ~」というおもしろさもあるのだが、この道具は物理のこういう性質を使っているので、こういうふうに使うのはいいけれど、こう使ってしまうと痛みが早かったりなど何らかの不具合がありますよ、というふうに、なんか日常の小技集としても読めるのが良かったですね。

 僕もそんなに生活が得意なほうじゃないので、メラミンスポンジでお風呂場をこすってはいけないとか、意外と引っかかってしまう生活の落とし穴がよくわかっていないところがある。それを、理屈込みで学べるのはかなりうれしかったです。シンプルに生きていくのに役に立つ本だ。*1

 

 最近はあんまり本屋で本を買うという習慣もなくなっていたのだが、実際に背表紙を見て手に取って、そこにあるものの中から次の本を選ぶというのは楽しい体験だよなということを再認識しました。子供のころとかはよくやっていて本屋に連れて行ってもらう前日とか楽しみだったものね。予算や買ってくれる冊数の範囲でどれを選んでどれをいったんあきらめるか考えるのも楽しかったし……。

 とりあえずしばらくは、月に一度ほどビールを飲みながら本を選ぶっていうのをひとつのルーティンにしてみようと思いました。

*1:あと、本の形的に本を置く場所が窓の桟しかないうちの家にもぴったりだった。