Pabst Blue Ribbon ほか

 

沼津さんぽ記7 とんかつ

 「とんかつをいつでも…」と思ったので家の近くにある定食屋に行った。ここでは「アジフライ定食」がマストレベルの立ち位置らしいのだけど、個人的にまだアジフライを信用できていない*1こともあり、いまのところここではとんかつばかりを食べている。

 

 「弥次喜多」というお店なのだが、沼津にいくつか店舗があるらしくそのひとつ。おひとり様用の席があり、目の前には詳細な沼津市の地図、そしてその周囲には新聞のコラム*2ラブライブ!関連お店を紹介したるるぶの切り抜きが置いてあり、また、お店のこだわりを刻んだ木盤なども掲げてあり、全体的に読む文字に困らないお店である*3

 

 とんかつもうまいがやはり蟹が入った味噌汁と、つけもの付きのご飯、やまもりキャベツあたりをバリューに感じてしまうよな。これがちょうどいいくらいなんて贅沢なことは言えないぜ。

 

Pabst Blue Ribbon

Pabst Blue Ribbon Japan |パブストブルーリボンジャパン公式サイト

 というビールがドンキに売っていて、リボンをあしらった見た目がちょっと可愛かったので購入した。お味は…、「アメリカのビールって、どれもこんな香りがするよね…諦」という感じのケミカルなフレーバーに最初は萎えたのだが、まあ慣れてくると悪くはない、といったところである。

 

 調べてみるとけっこうアメリカではメジャーなビールで、日本でも近年から正式に流通を始めたらしい。音楽や映画といったアメリカンカルチャーとのかかわりがある銘柄だということで売り出しており、たしかに雰囲気が欲しい時にはよさそうだが、値段がいかんせんプレミアムビールの数字なので、いくらでもあるもっとおいしいビールたちと競争しなければならないのは辛そうである。

 バドワイザーくらい安くなってくれれば…。

 

トーマス・ベルンハルト『推敲』

推敲 :トーマス・ベルンハルト,飯島 雄太郎|河出書房新社

 トーマス・ベルンハルトさんという人が書いた小説『推敲』を読みました。周囲から理解されない「円錐状の建物を建てて姉にプレゼントをする」という事業に乗り出した科学者ロイトハマーが残した、自分のチャレンジについてのメモ書きを主人公である「私」がロイトハマーと私の共通の旧友ヘラーの屋根裏部屋で、目を通し、これから整理していく…、というお話。

 

自殺することによって自分自身を推敲し、すべてを推敲しようといつも思っている。

 読むことそのものをテーマとする、20世紀以降としてはだいぶ王道なつくりのポストモダン文学でしたね。しかし、話の一見重要なモチーフに見える「円錐」、……が象徴するような理念的・精神的なものではなく、そこにたどり着くために知識人たちが逃れ出ようとする因習や生い立ち、周囲の無理解などを主観的な視点から描写するために長い文字数が使われる。

 テーマはわかりやすくて、なおかつそれに深遠に、文学的に楽しい謎を残して迫っている。めちゃくちゃ好きになるかは人によると思いますが、こういうタイプの物語を好む人であればとりあえずは「いいね」より下の評価をつけることはないのではないでしょうか。けっこう堅い作品だと感じた。

 

 段落分けが一切なく、文章自体も非常に読みにくく、報酬的な面白さもないので小説を読みなれている人向けの作品ではある。あと、かなり男性中心的なお話でもある。というわけでだれにでもおすすめすることはできない小説ですが、でも、なんとなくぐっときた場合は手に取って損はないでしょう! 面白かったです。

*1:だってアジフライだぜ? アジフライしかないなら仕方ないが、そうでないときにアジフライを頼むレベルにはまだ俺は仕上がってない。

*2:政権を批判する内容だった。

*3:うれしい。