ポール・セイヤー『狂気のやすらぎ』 ほか

 

ベテランが輝くリーグ~23-24ラ・リーガ第10節 セビージャvsレアル・マドリー

 結果は1-1のドロー。決して悪くない試合運びだったと思うのだが、相手のヘスス・ナバスセルヒオ・ラモスの老獪なDFにうまく粘り切られたなあという感じ。ラモスにいたっては「難しいゴールカバーをして、ボールをゴールラインにクリアしたのにコーナーキックも取られない」というまさにセルヒオ・ラモスという運命の下に生まれたプレイヤーにしかできないようなプレーをしていて、変わんねえな…と思った。難しいゴールカバーまではふつうの選手でもできるんですけどね。

 

 審判がけっこうファールの基準を緩めにして試合をコントロール*1していたこともあり、リュディガーにイエローが出ないまま乗り切れた…、という1点で、クラシコに向けてぎりぎりポジティブなドローだったと言ってもいいかも。

 

 審判の考えによっちゃ退場ですからねこれ。セルヒオラモス、相変わらずのミームイカーである。

 

 気になった選手はケパとカルバハル。ケパは、どうしても正GKと比べて毎回渋く見てしまうのだが、まあでも冷静にいいキーパーだよな。カルバハルはそんなゴール初めて見たよ。

 

ポール・セイヤー『狂気のやすらぎ』

狂気のやすらぎ | 草思社

ある精神病者の視界に映った世界が、詩的な静寂の中で淡々と描写される。平板な日常世界の底に広がる不安の深淵を垣間見せる秀作。英ホイットブレッド大賞受賞。

 完全に体を動かせず、意思疎通もできない要介護状態の人物が主人公で、その視点から病院や施設の様子が皮肉っぽく描かれる。……というのが始まりの部分であり、当時現役の医療従事者の書いた小説、という前情報があったので、現実の医療のある側面に光を当てた社会的なテーマを持つ本なのだろうな、と思って読んでたら違った。

 

 そうではなく、要介護状態(意識はある)の人の視点から、という切り口を使った、シュールレアリズムという感じですね。作品として完全に完成されているという状態ではまったくないのだが、ばらばらと、「とりあえず文章を出力してみました!」といった感じのなかに、描写の面白さとか発想の新規性とか、けっこう読みどころがあって面白かった。

 読み終わってみると、完全にシュールな作品というわけではなく、何かしらの関係を現実と持っているんだろうなという感じがするのも良い。その現実を、分かりやすい形で描くのではなく、特殊効果を加えて曖昧に、原型をうかがえないようにしていて、そのエフェクトのかけ方を文学として楽しめるという感じ。その点では、エイミー・ベンダーポール・オースターなどを思い出しました。

 

 Amazonではいまのところ1円で買える。僕が個人的に集めているAmazon1円文学全集にまた心強い仲間が加わりました。😋

 

リパブリュー 69IPA

えぐみは極限まで少なく、しっかりと苦いのにサラッと流れる。
(…)
「PINT設計」といって、少し飲めば美味しいのは当たり前ですが、杯数を重ねれるおいしさを考えて作っています。2PINT、3PINTでも飲みたくなります。

Repubrew【缶】69IPA

 ちょっと前の記事で沼津の有名なブルワリーに行きましたよという話をしたが、その缶製品バージョンがスーパーで売っていたので購入することに。地の利を生かした形ですね。

 

 味は上記の公式サイトにあるライナーノーツ通り、完全賛成と言っていい感じ。こういう公式のお酒紹介って「?」となることもままある気がするのだが、これはパーフェクト描写ですね…。

 とにかく苦く、ずっと苦みが舌に残るのだが、言うとおりえぐみがなく、非常に空っとした苦みである。柑橘系のフレーバーもさわやか。これはマジで何杯でも飲めますね。うますぎる…。

*1:これは賛否両論あるだろうが、個人的にはうまくやったなあと思った。