美味いよって言って薦めたいんだけどちょっと先に説明させてほしいこともある

 

 私の物件選びの起点となった家系ラーメン店「沼津家」ですが、総合的に見るとおいしくて、好きなお店だな、となりました。周囲の人にもそう言っておすすめしたいのですが、ただ、ちょっと先に説明させてほしいこともあるんですよね。個人的に好きなお店が「なんかちょっと思ってたのと違ったな」と印象を抱かれる確率を、すこし減らしたい。

 

 まずラーメンの味についてなのですが、ひょっとしたらひとくちSUSUって、「あれ、なんか味薄いな」と感じる人もいるかもしれない。……実際ちょっと家系としてはマイルドめな部類だと思うのですが、それだけではなくてこのお店、手間を省略しているのかそれがこだわりなのかは知りませんが、ラーメンを作るときにスープを混ぜないので、味が下のほうに固まってるんですよね。

 食べているうちに混ざるのであとあとはちょうどよくなるのだが、第一印象で「薄い」となってしまうと、心象のネガティブ評価を覆すのはなかなか難しいものである。もしラーメンにパンチを求めているのであれば、一口目は下からすくって食べる。で、適度にまぜつつ食べ進めると良いのではないかと思う。

 

 もうひとつのポイントとして麺の量がある。ちょっと少ないんですよこのお店。僕はけっこう小食なほうなのですが、それでも食べ終わったあと「まだ食えるな」となるくらいの量である。

 ここのラーメンはトッピングも少ない*1ので、「物足りなかったな…」という印象を持ちやすい。基本的に一般的な満腹ではないひとなら、大盛にするかトッピングを増すかご飯を頼むかしたほうが良いと思います。ご飯もラーメンもちょっと高いので躊躇するかとは思いますが……。

 逆に二日酔いのときとかはちょうどいいのでありがたい。

 

 そして更なる要素として接客がある。店主が全然しゃべらないんですよ。食券を置いてもとくに何も言わず、遠目でちらっと確認しておもむろに作り始める。家系ラーメンではおなじみの「固め・濃いめ・多め」のカスタマイズも可能なのだが、「お好みは?」と聞かれることはないので、「聞かれたときに言おう~😎😎😎」と思って待っていると「ふつう・ふつう・ふつう」*2が来ます。

 意地悪をしているわけではなく(上記のカスタマイズも適当なタイミングで言えば普通に聞いてもらえます。返事は基本なく、ただこっちを向いてうなずくだけですがこれでオーダーは通っている)、単にあまり接客が好きではないのであろう。個人的には、食事を作る人と金を払ってそれを食べる人の力関係はこれぐらいでいいと思うのだが、まあ慣れてないひとにとってちょっと険しく感じるのはしかたないですね。

 

 とまあ難点ばかりを述べてしまったが、最初に言った通り最終的には僕は好きなお店である。ラーメンは美味しいし、なんというか派手ではなくこれといっためっちゃいいところがあるわけでもないのですが、しっかり堅実で、あと変な言いかたですが「売れよう」という商業性を感じない味なのが良い。

 家系ラーメン店としては珍しく「黒塩」「和風」という味違いがありそれもたまに頼むと良い。店主も最初は怖いが、よく見ると目がやさしいし、客をビビらせるのがいいと思っているタイプではなさそうである。

 

 混んでいるということはなく、逆に通し営業のどの時間に行ってもつねに一定数のお客さんがいる。それぞれが満足そうな表情で、食事の時間を淡々と楽しんでいる。

 

 期待しすぎるとそれをめっちゃ上回っては来ないではあるし、上述した初見殺し要素もけっこうあるのだが、それを差し引いても良いお店です。近くを通ったら、立ち寄ってみるのもいいのではないでしょうか。おすすめ。

*1:とくに初見でチャーシューが期待を下回らない人はいないのではないか。

*2:これもトラップで、麺はデフォルトでちょっと柔らかめなので固めが好きな人はここでまたがっかりしちゃうんじゃないかなと思う。