専属契約は新しい

 

 シーズン開幕前に突如流れてきたこのニュースが僕の中で「えぐすぎる」と話題に。

 

 これまでスペインのサッカーリーグ「ラ・リーガ」は、WOWOWDAZNが日本での配信を担っていたが、今シーズンからはWOWOWが撤退し、代わりにU-NEXTが参入。そのうえで、人気解説者・実況をDAZNから引き抜くという戦いに出たわけである。

 

 個人的にはDAZNを契約していて、U-NEXTは現状契約する意思はないので、この報を見たときの心の動きは「えぐすぎる😅」→「悲しすぎる😨」だったのだが、

 

【ご報告】移籍します。来季のラ・リーガ解説について。

 小澤”ペリオディスタ”一郎さんのこちらの動画を見た後では、「まあ、これが正しかったのだろう…」という気持ちになりました。

 

 サッカー解説としては異例の「専属契約」をすることになった3人のなかでも、とくに小澤さんや倉敷さんは、けっこういろんなところで継続して、「日本における海外サッカー放送文化」についてこのままじゃいけないという提言をしていて、個人的にも非常にわかる内容だったんですよね。

 そして、今回のこれは、……もちろん専属契約をしたことそのものがその「このままじゃいけない」を改善することになるわけではないのですが、でも、その一歩になるような、……ふだん発信していることの大まかな方向性に沿った動きなんだろうな、というのが伝わるような言葉が動画では出てきていた。

 

 専属契約そのものは視聴者にとってはメリットはないものの、U-NEXTがこういう手段に出ることによって配信プラットフォームどうしの競争が起こる*1こと、また、専属契約を解説者に呑んでもらうにあたって、実況者・解説者の待遇がかなり上がったのだろうということがうかがえて、両方とも小澤さんのこれまでの発言と一貫しているものだし、「日本における海外サッカーの放送」全体にとっても歓迎される変化である。

 

 同時に、「専属契約」の及ぶ範囲が、試合の実況解説に限定されており、そうではないサッカー情報番組にはこれまで通りプラットフォームにかかわらず出演するという点が強調されたのも良かった。

 U-NEXTとしてはビジネス的にはここも専属にしたかったところだが、それは小澤さんにとっては飲めない条件だっただろうなと思う。これでもしDAZNでやってるFootBall Freaksが終了したら、また一歩後退ですからね。その点でも、信頼できるなあ~と思ってしまった。

 

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 ではこれを受けてDAZNはどうするんだろうな、というのも気になる。「専属契約」した以外にもおなじみの実況者・解説者はいるのだが、上記のどの人も毀誉褒貶ある、という印象。

 また、DAZNはけっこうオリジナルコンテンツにJリーガーやもとJリーガーを積極的に起用して、Jリーグのコンテンツと海外リーグのコンテンツの相乗効果を狙っている節もあるので、それも増えそうだなという気がしている。

 

 元有名選手でも、無名選手でも、ジャーナリストでもあるいは何でもない在野の人でもいいので、個人的には、花形の3人を失ったDAZNから新しい実況解説ヒーローが出てくるとうれしいな、と思っている。

 ただ放送のにぎやかしじゃなくて、サッカー観戦に付加価値をもたらせるような、サッカーを言葉にするプロ。素質や、もしかしたらもう実力まである人は、世の中にたくさんいると思うんですよ。それを、開幕する23-24シーズンのひそかな楽しみにしていきたい。

*1:動画の、過去ラリーガの放送にあまり熱心じゃなかったプラットフォームを名前を出してdisるところなど、小澤さんのスピリッツを感じて良かった。