ほほえみはコミュニケーション~『ガッジョ・ディーロ』(1997)~

 

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ガッジョ・ディーロ(Gadjo Dilo)は1997年作成のフランス映画。トニー・ガトリフ脚本、監督。『ガッジョ・ディーロ』はロマ語で『愚かなよそ者』を意味する。

また、この映画で俳優としてのキャリアを持っている者は主演のロマン・デュリスとローナ・ハートナーのみで、その他の配役、映画の中で重要な配役であったイシドルを含めた全員が本物のロマ(ジプシー)である。

ガッジョ・ディーロ - Wikipedia

 

 という映画を見ていた。ちょっと教養的な映画かな~と思って身構えながら見始めましたが、最初に主人公の男が雪の道を歩いていて、疲れて、「もう歩かないぞ!」とやけになってその場でくるくる回り始める場面があるのだが、それがいい笑いで面白くて、すこし気を楽にして続きを見ることができました。*1

 

 で、そのまま最後まで見たのですが、非常に面白かった。あんまり先入観を持たずに見たほうがいい映画だと思うので、ここではどこがどう良かったとかについては話しませんが、……異文化交流とか、文化人類学とか、そういうところに興味がある人であればほぼ間違いなく興味深く観ることができるのではないでしょうか。

 コンシャス度合いもかなり高いので、そういうところに引っ掛かりをおぼえる人でも安心して観れると思う。

 

 映画の本題とは関係のないところでちょっと印象深かったのが、主人公やその他の登場人物が見せるほほえみ。使う言語の関係で、登場人物どうしで正確なコミュニケーションが成立していない時間が多くある映画なのだけど、そのときにスクリーンの中の人たちは、ほほえみを浮かべる。「あなたがなにを言っているかはわからないけれど、私はあなたのことを好ましく思っているし、あなたの言うことを聞きたいと思っているよ」という意味の。

 

 理解できない言語を前にそういう意味であいまいにほほえむのって日本人だけで、それ世界では「オリエンタルスマイル」といって、「なんでこいつら笑ってるの? 君が悪い」と思われるよ、……と昔誰かに言われたことがあって、それ以降、外国人(アジア系除く)、……とくに西洋人と話すときはその人をにらみつけるようにしていたのだが、いや~~、この映画を見る限りやっぱみんな微笑んでるんじゃん! と思った。そして絶対笑ったほうがうまくいくよな。すくなくともこの映画ではうまくいっていた。

 

 これからは、なにを言っているかわからない人のまえでは極力にこにこしているようにしようと思います。

 

 映画は傑作なのでぜひ皆さん見てください。アマプラで見れます。

*1:映画を見るのにちょっとハードルがある人間なので、こういうアイスブレイクがあるの助かる。