トゥランガリラ交響曲

 

 ついに「トゥランガリ交響曲」について語るときが来たようだ。このブログをはじめたときから、ずっとこの曲について語る回を書くときのことがイメージのなかにあった。……というくらい、個人的に思い入れのある曲である。宇宙船に、1曲だけ曲を持って行っていいと言われたらこの曲をチョイスする*1と思う。

 

 いくつか、聞き所をピックアップしてお話したい。

 

 まず、最初の特徴として、この曲には「オンド・マルトノ」という、ふつうに人生を生きていたら聞くことはないであろう楽器が大々的に使われている。電子楽器であり「指輪のついたリボン」というかなりかわいいインターフェイスを使って演奏する楽器で、音は上記のリンクのとおり。再生後、数秒待ったら来る「ひゅいぃぃん」という感じの音がそれである。

 透明感がありながらも、不安定で、ちょっとおどけているようにも聞こえるこの音色が曲中ではメインを張る。

 

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 けっこう面白い楽器なので、それ目当てに聞くというのもありなのではないでしょうか。個人的にはロトムとかに憑依してもらってでんきタイプがついてもかわいいと思う。

 

 第5楽章の冒頭となるこの部分はこの曲の中でもとても好きな部分です。曲全体としては、ひとつ山場となる部分を越えて、ちょっとほっとした気持ちで喜びながら聞く部分なので、できれば流れの中で聞いてほしいのだけど、切り取っても十分に良い音楽になっているはずだ。

 

 短い楽章だけど、複雑で、このテーマが濃密に繰り返されて、聴いていて非常に充実感がある。

 

 第9楽章も好きな楽章ですね。これも4分と非常に短い楽章なのだけど、聴きにくい入りから、ちょっとキャッチーなピアノのメロディー部分に入って、そのあとも緊張感を保ちつつ、最終楽章の頭の爆発に備えてポイントをためている、みたいな続きかたがとても良い。そして終わりはとても宙ぶらりんだ。

 

 全体的にとても聴きにくい……、気もするのだけど、曲中にちりばめられたメロディーの反復だったり、カオスな音色だったりリズムだったりを非常に楽しむぞ!という気持ちになれば非常に楽しんで聞けるのではないかと思う。

 

第1楽章 序章 Introduction
第2楽章 愛の歌1 Chant d'Amour 1
第3楽章 トゥーランガリラ1 Turangalîla 1
第4楽章 愛の歌2 Chant d'Amour 2
第5楽章 星たちの血の喜悦 Joie du Sang des Étoiles
第6楽章 愛のまどろみの庭 Jardin du Sommeil d'Amour
第7楽章 トゥーランガリラ2 Turangalîla 2
第8楽章 愛の敷衍 Développement d'Amour
第9楽章 トゥーランガリラ3 Turangalîla 3
第10楽章 終曲 Final

 ちなみに各楽章の名前もかなり面白い。前半部分の愛の歌1・愛の歌2が後半部分では「愛の敷衍」になっているところがかなりかっこいいし、「星たちの血の喜悦」は強い念能力を身につけたら名前につけてしまいそうだ。

*1:80分くらいある長い曲なので、「1曲」というレギュレーションの上ではかなりお得である。