家の近くのラーメン屋がおいしい - タイドプールにとり残されて

　通勤とか通学をしているときは、定期券内になにかおいしい店があればそれでよかったのだが、現在は完全リモート、家の周辺ですべてが解決するので、家の周辺にどんなお店があるのかがとても重要になっている。

　そば・うどん屋がなかったり、牛丼もなかったり、マックもなかったりとお店事情的にはそこまで良好とはいえない僕の新居なのだが、……ラーメン屋だけはあたりを引くことができたように思う。本当においしくてめちゃくちゃ通っている。

　ベーシックなラーメンは850円と、ややハイブロウな価格帯。最初はそれを渋っていたが（後述するお得要素もあり、）今は気にならなくなっている。だっておいしいのだから。

　透き通っていて雑味がない醤油のスープは、……だけど油の甘みがあって、これだけずっと飲んでいられるくらいである。具はメンマとチャーシュー2枚（鶏と豚）で、豚のほうは低温調理されていてレア感を味わえるのもうれしい。この豚チャーシューはほおっておくとスープの熱で加熱されて風味が変わるので2度楽しめる、……いや、加熱の度合いを無限のグラデーションと考えるのであれば無限に楽しめるのである。深い一杯だ。

　特製ラーメンを注文すると、これに半熟煮卵がついてきて、さらにチャーシューが2枚ずつになる。なので、最初着丼と同時にまずはレアなままの豚チャーシューを味わい、同時にもう一枚のチャーシューをスープに沈めて加熱する、……というチャートが個人的には主流である。

　特製ラーメンで忘れてはいけないのが卵。これも非常に計算されていると感じる。……スープ自体が醤油のうまみを必要十分に引き出した、無駄のないものなので、「できれば卵はその中に溶きたくないな」と思って、初見おそるおそる卵に箸を入れたのだけど、……溶けないんですよ。

　もう少し火入れが弱かったら、トロっとした黄身がスープに交じるのを止める手立てはなかったと思うし、逆にもう少し火が入っていたら、それはそれで粉上になった黄身がスープの味を変えてしまっていただろう。適度にしっとりとまとまっている、このスープに合わせるべき最適な具合に調理されている半熟味玉に僕はとても感動してしまった。

　この特製ラーメン、ふつうに頼むと+200円くらいするのだけど、「ラーメン定期券」を購入すれば500円で1か月間いつでも通常のラーメンを特製にアップグレードすることができるのだ。これの体感お得感が凄くて、このお店に通う熱烈な理由になっている。