いつか君が また書き始めようと思った時のために

 

いつか君が
また書き始めようと思った時のために
ノートの最後にはひとつ
簡単な謎がかけてあった

人生とは二十代前半
そして僕も
君の二十代前半と同じで
君を裏切ったものたちのひとり

埋め立て地にできた
故郷に戻り
誰かを嫌いになることなんて
二度とない
終末期病棟にいる
君のことを思い出す

もう自分の名前さえ
書くことがない
君のことを