皆さんも幸せになりませんか?
Absynthe Minded(アブサン・マインデッド)は1999年から活躍している*1ベルギーはヘントのロックバンド。Wikipediaでみると、「ジャンル」の欄には「Rock, pop, jazz」と書いてあって、いや~それは世界の半分だろと思いながらも、でも確かに間違いなくロックだし、ジャズのニュアンスもあるし、ポップスの普遍性も持っている、……稀有なバンドなんです。
いちばんのヒットナンバーはこちら「Envoi」。ちょうどいいリズムの気持ちよさのあいだに「Enough!」という掛け声が挟まる曲で、――なんというかこのポップな曲全体に流れている気品の良さ! 名曲にありがちなべたっとした嫌みがなく、ぴったりなぶんだけ音が鳴っていて一曲を成り立たせているんです。
曲のクライマックス、主張をせず鳴ってでも確実に響きに緊張感を与えるヴァイオリン、好きです。
キーボードを主役に据えて刻むメロディーの各パートによる受け渡し、アンサンブルが見事な「End Of The Line」。そのテンション感を損なわないままサビのメロディーに移行するところで毎回顔を覆ってしまう。そしてあいかわらずバイオリンはいい仕事をしている。
このバンドを知るきっかけになった、――一聴して完全にとりこになったのがこの曲「My Heroics, Part One」。1音下がるのを繰り返すだけのメロディーが全編にわたってフィーチャーされている曲で、もうこれがどうしようもなく刺さった。曲全体に説得力があって、この下がる1音のあいだに、世界について知るべきすべてのことが詰まっているような気がしてくる。
はっきりとした盛り上がりがあるわけでもなく、キャッチーなメロディーがあるわけでもない、わりと渋めの曲なのだけど、それで100万回近く再生数が回っているというのは本当に曲の力なのではないか。*2
2021年にリリースしたベスト盤、……に付属した新曲がこちら。ベスト盤につける新曲にふさわしい、これまでの活動の延長線上にあって飾らない、そしてどこか天上的な感覚のある曲である。
権利の関係があれなのか、Spotifyでは聞けないアルバムも多いのだけど、ある物だけでもとても楽しい時間を過ごせている。Absynthe Mindedに出会えて毎日が幸せ。幸せを、もっと広く深く広げていきたい毎日ですね。