歴代ベストBGMを選んで自分に最適化されたドラクエを作る 後編

 

前編

歴代ベストBGMを選んで自分に最適化されたドラクエを作る 前編 - タイドプールにとり残されて

 

ダンジョン→迷いの塔(VI)

 ドラクエのダンジョンは不気味な雰囲気をまといながらも、どことなく神聖な感じがする曲が多くあって、プレイしているとたんに危険で魔物がはびこる場所に行くというよりは、人間の文明とは違う理屈で動いている特別な場所に来ている、という感じがする。

 

 そんななかでもやけにノリノリで変拍子なこの曲がいまはいちばん好きかもしれない。自分と異なる世界、存在との出会いをポップにコミカルにとらえている感じがユニークで良いと思う。

 もちろん暗い洞くつを魔物見つからないように歩くような心細さのある「洞窟に魔物の影が」や、神秘×アヴァンギャルドの「呪われし塔」のときも全然あるが、いまはこれで。

 

戦闘曲→戦闘~生か死か~(IV)

 この部門も迷うけれど、……いったんこれで納得感はある。ドラクエの戦闘曲はナンバリングが若いほど戦闘の恐怖を強調し、最新作に近づくほど戦闘をよりポップにとらえた勇ましげな雰囲気になっていると思う。ドラクエIVはその中間くらいで、おどろおどろしさを保ちながら、戦闘の楽しさみたいなものも含んでいる、いい感じのバランスなのではないかと思う。

 

 この曲の戦闘遷移イントロ部分、オーケストラ版やプレステ版リメイクで音数・音色多めにアレンジされたときの解釈を聞いてみるのも楽しい。

 

海→エーゲ海に船出して(VI)

 海の曲らしくすこしずつなめらかに表情の変わる各部分のどれも素敵なのだけど、やっぱりこの曲を語り継がれる名曲にしているのは、イントロのフレーズですよね。船が離岸するときの切ない感じ、後ろめたさを感じる感じが際立っていて、……際立ちすぎていて、ゲームの音楽としてぴったりかというとそうじゃない気がする*1が、とはいえ曲として素晴らしい。

 

 イントロのフレーズが移調されて、繊細に展開されるオケバージョンも素敵です。

 

神殿・聖域→時の眠る園(VII)

 いちばん最初に、ゲームをしていて「何だこの曲!」と思って立ち止まったのがこの曲だったと思う。7歳くらいだった。

 

 最初のパートはとろうによってはコミカルにとれるようなメロディを音色でそれっぽく見せているようにも見えるし、続くパートも平凡の域を越えないような気も、いまとなってはしちゃうのだけど、ほかの多くのドラクエ7の熱心なプレイヤー同様、そういう冷静な目線とは別の次元で人生に深く刻まれている曲である。

 

空→おおぞらをとぶ(III、VIII、XI

 正直通ぶりたいのでこれは外して「遥かなる空の彼方へ」とか「空飛ぶ絨毯」にしてマウントを取りにいこうかなとか思ったけど、一回空の曲を一通り聞き返したところふつうに「いやこれじゃん」となった。

 

 一曲を通して情景が浮かんでくるのが素敵ですよね。イントロのきれいな旋律のときは、まだラーミアは空の遠くに滑空する光る影で、つぎのパートでぐんぐんと迫ってきて、シンバルがクラッシュ音を奏でるタイミングで一度翼を振り下ろして、揚力に乗りながらまた高度を上げていくんですよ。

 

 いま聞くと、ループ切り替えてまえの地味でのどかなフレーズも愛おしい。

 

ラスボス→おおぞらに戦う(VIII)

 ドラゴンクエストのラスボス曲の多く*2はラスボスの強さ、まがまがしさ、凶悪さを表現する狙いがあるのだが、VIIIの「おおぞらに戦う」とIIIの「勇者の挑戦」だけは、主人公サイドの気持ちの昂りにフォーカスした曲となっている。

 「勇者の挑戦」はやっぱり緊張感が前面に押し出されているのに対し、「おおぞらに戦う」のほうは「どかーん!」みたいな、体の固まりを吹っ飛ばすようなイントロから始まって、そのあとも通常戦闘曲のオープニングを思い出すようなでけでけが入ったりして、いままでの冒険を思い出しながら、気負い過ぎず、自信に満ちて、平常心を言い聞かせて最後の戦いに臨む主人公パーティーの姿が見えるようで、好き。

 

エンディング→結婚ワルツ(V)

 エンディング曲って、エンディングでしか流れない特別な曲なぶん、ゲームの流れから浮いてしまったり、そう簡単に何度もは聞かないので印象に残らない、みたいなことがありがちで、ドラクエのエンディング曲のいくつかもこの難点を乗り越えられていないと思うのだけど、素晴らしい例外がこの曲だと思う。

 

 ストーリー中で一回聞いた曲が、すべてが終わったあとに流れるのにふさわしい(だって、ここから彼ら彼女らの結婚生活はほんとうに始まるわけなので)シチュエーションで流れてくるので本当に良い。

 

 ご冥福。

*1:海に出た瞬間、一歩も動きたくなくなる。

*2:ほかのRPGでもおなじかも。