自意識の経済政策

 

 最近、自分の長所や優れている部分、自分がこうありたいと思っていて、なおかつそれを達成できているような項目について考えることが多く、やや自信にあふれた人間になってきている気がする。なので今日は部屋を暗くして一日中、自分の欠点や自分がこうなりたくはないと思っているのにそうなってしまっているようなところについて考えていた。経済がとても上向きになってきたときに増税をして、景気の過熱を防ぐようなものである。

 

 なるべく、自分が今まで短所だと考えていなかった短所を見つけることができるとうれしい。反省をしているうちに、以下のようなことがわかってきた。僕の存在や行動や芸で周囲の人を喜ばせたいという強い欲求が僕にはあって、しばしばコントロール不能になることがある。いままではとくに気にしていなかったが、実際これはかなり危険な性質なのではないだろうか。

 

 そのような欲求がコントロールできないことで、自分の人生を台無しにしてしまう負け筋にはどのようなものがあるだろうか。昔見かけたニュースのことを思い出した。

 

オーストラリアのシドニーで、仲間たちと飲んでいる最中にふざけてナメクジを食べた男性が、寄生虫に感染して1年以上も昏睡(こんすい)状態に陥り、全身がまひして死亡した。

当時19歳だったサム・バラードさんは2010年、友人の自宅の中庭で、仲間たちとワインなどを飲みながら談笑していた。

そこへ現れた1匹のナメクジを見て「食べるか」という話になり、バラードさんがのみ込んでしまったという。

バラードさんは間もなく昏睡状態に陥って、420日間、意識が戻らなかった。ようやく意識を回復しても、体がまひして自力で食べることも、ほとんど動くこともできず、24時間介護が必要になった。それでも精神状態はしっかりしていたという。

バラードさんは2日、自宅近くの病院で、家族や友人に囲まれて息を引き取った。葬儀は8日に営まれる。

 このニュースを見たとき、他人事だとも笑い事だとも思えず地味にショックを受けていたのは、自分の内側にあるこの強い欲求のせいだろう。

 このニュースを見て「アホだな笑」とひと笑いしてすぐ忘れてしまうがわのひともたくさんいるだろうが、僕は「食べるか」となってナメクジを食べてしまうがわの人間であり、もうそれをやっている自分をありありと想像できる。プールで友達と楽しくなってて俺がナメクジを食べたらウケるんだったら絶対食べてしまう。リスクを知ったうえでも食べると思う。おそらくその性をどうすることもできない。

 

 自分の人生は主観的には最悪どうなってもいいっちゃいいのだけど、客観的にはあまり良くない。幸い、欲求をコントロールする方法を探すこと自体は嫌いではないので、いろいろ対策を考えていきたい。ナメクジを見て「食べるか」となるまえに、なにか、対策を。