改造マリオの文化史

 

不定期にハックロム(主に改造SMW)に関する解説系動画をアップロードする予定です。

 というYouTubeチャンネルがおすすめに流れてきていたので見ていて、もっと見たいなと思ったのでチャンネル登録した。

 

 動画一覧を見てみるとこんな感じ。実際の「スーパーマリオ」のゲームのデータをユーザーが書き換え、新しいステージをつくったり、グラフィックを書き換えたり、音楽をつけたり、……とにかくいろいろ改造する「改造マリオ」という遊びかた、……遊びかたなのかな?があるらしく、日本でもニコニコ動画でそれ関連の動画が投稿されるなどかなり人気だったらしい。

 ただ存在自体からしアンダーグラウンドなのはまぬがれず、ちょっとネットの日陰になっているところで動いていた文化、……そして近年ではほぼおなじ遊びかたが公式でできるゲーム「マリオメーカー」が登場したことで、さらに表立って語られることは少なくなっていた。

 

世界一視聴された改造マリオ動画の謎【VOICEROID解説】

 そんな「改造マリオ」の世界を、データをハックするといった法的・倫理的にグレーな行為について是か非か主張するものではなく、あくまで文化としてとらえてトピックを解説しているのがこちらのチャンネル。

 さまざまな資料が見やすく配置されていて、しかもけっこうシズル感のある、もっと知りてえ~となるような語り口をしているのが特徴で、動画として非常に面白かった。

 

 この動画を最初に見たのですが、正体不明の「改造マリオ」の出所を探る、みたいな立てつけになっていて、都市伝説系チャンネルを見るときのようなぞわぞわ感を感じれてよかったです。

 

【VOICEROID解説】#3 改造マリオ解説【Baby Kaizo World】

 個別の作品の解説もあるし、

 

「友人マリオ」解説 Part 1(前日譚編)【VOICEROID解説】

 影響力の特に大きかったひとつの作品を中心に置き、カルチャー全体の趨勢をタイムラインで追いかけるような力作もある。とくに、「鬼畜難易度のステージを面白おかしく攻略していく動画」がニコニコで跳ねたことで、それをよく思わない旧来のハッカー(難易度以外にも、マリオとしての面白さを追い求めたい。そもそもオーバーグラウンドであまり注目を集めたくない)のコミュニティと軋轢が発生するところあたりは、歴史ものの面白さを最大限に感じることができました。

 

 まだチャンネルとしては伸びきっていないので、いまのうちに見つけておくチャンスですよ。おすすめ。

友達が来た

 

 ことあるごとに「沼津に遊びにおいでよ」とは口に出しつつも、絶対にだれも実際に来ることはないだろう……、と思っていたのだがこの春分の日、地元の友達が沼津にやってきて一緒に遊び、とても楽しかった。

 

 きっかけはいま平塚に住んでいる友人が「三月に引っ越しをするので、比較的近い今のうちに沼津に行ってみたい」とLINEをしてきたこと。いろいろあってもう一人釣れ、合わせて3人で3月19日の仕事終わりに合流することとなった。

 最初のころは「やっと沼津を案内できる😎」といううれしい気持ちがあったのだが、当日の朝頃になると、沼津という町のコンテンツ力がどうも不安になってきて、うつ状態になっていた。

 

 しかし「大事なのはあなたと会えることだよ」と友人のひとりが言ってくれたので、多少救われた気持ちになった。

 

 まずは沼津のクラフトビールブルワリー「Repubrew」にいったあと、たまにいく魚串とお刺身と日本酒がおいしいお店に。そのあとコンビニでいろいろ食べ物や飲み物を買い、僕の家で飲みなおすこととなった。

 最近僕の周辺で夜遅くまで友達と遊ぶときはだらだらitoをするのが通例となっていて、この日もそれをした。

 

 「好きなレアカード」というお題が出て、せっかくだしカード面が出たほうがいいよねとLINEグループで発表したのだが、違う数字を引いたはずなのに同時に「開眼者クーカイ」出しで被ったときが一番面白かった。もう二度とないだろうなこういうことは。

 

 翌日は家の近くの吉村家直系……、じゃないけど実質的には直系のお店「沼津家」で迎えラーメンをしたあと、みなとエリアまでお散歩。水門を見るなどした。そのあとはそこまでの道なりでみつけた「大川酒店」という角打ちのお店でさらにお酒をのむ。隣の席で逮捕歴を自慢していたおじさんが数分後には「なごり雪」を弾き語りしていて、それが心にしみた。

 

沼津「ITA酒場」昼飲みは1杯300円・寿司1貫50円~!気軽でおいしい人気の立ち飲み寿司 | せんべろnet

 そのあとは最近「せんべろnet」でも紹介されてさらにプレゼンスを増した沼津最強のお店ITA酒場に開店凸。寿司と日本酒を楽しみました。さらにもう一軒、沖縄出身の店主がやっている「キルギス」というお店にはしごして、なにもかもよくわからなくなったところで解散。

 お酒を飲みすぎた結果、おそらく回収不能な忘れ物が発生したりするなどいろいろ不具合はありましたが、1泊をみっちり楽しむことができた。

 

 週の間にある休日とは思えない密度でした。

ラナンキュラス ほか

 

ラナンキュラス

 ちょっと前から花を1個だけ買って家に飾り、枯れたらまた別のを買ってくる、けっこういろいろお迎えしてきたのだが、いまのところいちばん好きなのがいまいえにあるこいつかもしれない。ラナンキュラス

 

ラナンキュラスは幾重にも重なった、明るい花弁が魅力的な秋植え球根です。近年、切り花用品種を中心に改良が急激に進み、花色だけでなく花形も変化に富んだ品種、香りのよい品種が登場しています。

ラナンキュラスとは|育て方がわかる植物図鑑|みんなの趣味の園芸(NHK出版)

 いろいろ見てみて思ったのは、なんか倍数体っぽい雰囲気がある、ポンポンした花が形としては好きだなということ。そして色は紫から紫がかった赤のあたり、葉っぱはあまりついておらず、太目の茎が一発で花を支えている、……というのが傾向として好みなのだろうな。

 

 1年ほど目を鍛えたら、つぎはいろいろ座学も交えつつ、複数花がある状態にも挑戦していきたいと思いました。

 

Fearofdark

 今日はFearofdarkを聞いていた。インストゥルメンタルの8bitミュージックで、抒情的な音使いやメロディーが特徴的なタイプ。個人的なライブラリーの中では、AnamanaguchiやSnail's Houseを思い出させた。

 

 曲も良かったのですが、このミュージシャンに関しては、曲の世界観に沿ったタイトルもひとつひとつ魅力的である。始まりからSFの世界をイメージさせる「23rd Century Life」に、アカデミックな雰囲気をまとう「Zeta Function」。「Rolling Down The Street, In My Katamari」という曲もあり、おそらく英語圏の人には「塊魂」を想起させるのではないか。

 最後の「Motorway」にいたる、アルバム全体の構成と盛り上げもかっこいいです。

 

ゆっくり 島の図鑑

ゆっくり 島の図鑑 - YouTube

 最近よく視聴している地理系ゆっくり解説チャンネルがこちら。その名の通り「島」ということを切り口に、自然環境から人間の居住、政治や経済上の争い、歴史などとりあえず島に関係すればなんでもまつわる事柄を解説している。

 でも、そのさまざまな要素が重なり合う感じが「地理」というジャンルのの最初の面白さっていう感じがする。地理好きなら楽しんで見ることができますよ。

 

 個人的に好きな回は千島列島にある21の島々をすべて解説【ゆっくり解説】 - YouTubeまるで軍艦!謎に包まれた東京都内の自然島!妙見島について【ゆっくり解説】 - YouTubeなど。

 ニッチなように見えて「北センチネル島」とか「軍艦島」とか、ネットの解説系コンテンツではおなじみのキャッチー題材を擁しており、またどうしても再生数が欲しくなったら領土問題を高々と扱うこともできるため、「島」専門チャンネルというのはなかなか伸びしろがあるいいオーシャンなのかもしれない。

 

魔界のニュース

 

魔界のニュース

 最近は「魔界のニュース」ばかり読んでいる。たまたまタイムラインに回ってきてゲラゲラ笑いながら見ていたのですが、どうも有名コンテンツっぽい…? ならもっと早く僕にも回してきてほしかったな、と思いました。

 

エビルピアノ教室、ギャ♯しか習えず破滅 : 魔界のニュース

 好きな記事をいくつか。まずはこのエビルピアノ教室の回ですね。「ギャ♯」というのがめちゃくちゃよくて、この「♯」をつけるというのが目立たないけど重要な工夫ですよね。

 これで「ギャ」という魔要素が、じつは人間界で言うところの音階名にあたるものであるということをナチュラルな手つきで知らせている。そのうえで「なんで♯の音を最初に習うんだよ。まずは白鍵からだろ」という双対の笑いも生み出しているのがすごい。大喜利の神様ってこういう細部に宿るんだよなあと改めて実感しました。

 

「先攻が全員死亡して終わるのは野球ではない」魔界野球の重鎮がルール変更の重要性を説く : 魔界のニュース

 これも素晴らしかった。

 

 このツイートが流れてきたことで僕は「魔界のニュース」をはじめて知ったのですが、ファーストコンタクトが不朽の名作で本当に良かったなと思う。魔界のニュースって見出しのインパクト重視で、内容はまあまあ適当であることも多い*1のですが、こちらの回ではちょっと例外的に、中身まで週刊誌インタビュー記事っぽく文体寄せて作り上げており、努力も光っている。

 

月が1個消滅、残り94個に : 魔界のニュース

 これも良かったなあ…。一目見てよじれるくらい笑った。よく考えると「月の数が多い」ということに特別「魔」要素はない*2のだが、それでも「魔」を感じてしまうのは、このサイトが需要に左右されることなく継続して魔界のニュースにこだわって発信してきた、その信頼感にあるのでしょうね。

 

 ちなみにコメント欄もすごい整然としていてびっくりしてしまった。この、大凡人インターネット時代、これだけ態度の揃った投稿コーナーを持つというのは記事を継続的に掲載するより難しいことでしょう。

 このままの温度感で「魔界のニュース」が続いていくことを願いたい。

*1:まあこれは人間界のニュースも同じか。界を問わずニュースそのものの持つ性質なのかもしれない。

*2:たしか木星とかはこれくらい月があるはずである。

米が炊ける瞬間が楽しみ

 

 最近、お米を炊くのにはまっている。

 

 お米を炊くくらいあたりまえのことではないか、と思われる向きもあるかもしれませんが、個人的にはこれはけっこう大事なんですよね。なぜかというと、僕はわりと昔から米のアンチをやってきていて、そのぶんパン派とかほかの何か派だったのかと言われると別にそういうこともないのですが、とにかくお米を否定できるタイミングがあれば基本否定して暮らしてきたのである。

 

 子供のころは毎晩食卓にはいちおうご飯は並んでいましたが、米を特別おいしいと感じたことはなく、日本人は米しかなかったから今も米を食べているんだろうな…(マックがあればマックを食べただろう)という認識でいた。成長して自分の食事を自分で用意するようになってからも、あえて米を食べようという気になったことはほとんどなかった。

 定食とかで、頼んでないのに米がついてくるときがあるじゃないですか、べつに米の味が嫌いとかではないので、そういうときにはひと口か二口くらいは食べるのですが、米との接点と言えばそれくらいである。

 

 しかし最近、……3月に入ってくらいからなのですが、めきめきと炊飯の頻度が上がり、またラップに包んである程度持ち越すのではなく、おいしすぎてその場で食べきるようになってしまった。流れが変わったと言わざるを得ない。

 

 しかも食べかたも、これまでは米を炊いたらレトルトカレーをかけたり、肉野菜炒めをかけてすた丼風味みたいにして消費していたのですが、最近はつけものや梅干しと一緒に食べたり、素茶漬けにしたり、海苔を巻いてちょっと醤油を垂らして食べたり、ふりかけをちょっとずつかけて食べたり……、と、あきらかに「米」の風味そのものを味わうものへと進化してきている。

 

 対比をはっきりさせるために昔の自分の米に対する言及を探してみた。直接はっきりと米を軽んじている言葉はやはり火種になるからか、書き込んでいませんでしたが、米にたいしてマイクロアグレッションをしているツイはいくつか見つかった。

 自分でもびっくりなんだけど、こんな有様から米を好きになることってあるんだな。人生には何でもあるようである。

 

展望

 これからの展望としては、いまはけっこう水の量などをあえてアバウトにしているので、その分散の中から個人的なベスト配分を見つけたいですね。

 あと、銘柄や炊飯器の質などにもこだわりを持っていきたい。いまはどちらもエントリークラスのものを使っているのだが、これだけ好きなら、1歩か2歩くらい階段を上ってもいいのではないだろうか。

能力バトルの能力名にした結果かっこよかったと思う文学作品タイトル

 

 

 過去、「スタンド能力にしたい作品名」みたいな話をしていたときは、能力に名前を付けるなんて実際にはやったことがないけど仮定して、みたいな顔をしていたのですが……、

 

目次 アスキィの奇妙な知事選挙 やる夫達のいる日常

 実際は昔、やる夫スレで「スタンド」の設定だけ借りた能力バトル物のオリジナルストーリーを連載していたことがあり*1、めちゃくちゃバトル能力を考えては「これはセンスがいいだろう…ニチャァとなりながら名前も考えていた。

 今回はその中から、個人的にカッコよかったなと思う能力名をいくつか挙げていきたい。ちなみに名前は基本的には文学作品名から取りました。*2

 

能力名にした結果かっこよかったと思う文学作品タイトル1:オン・ザ・ロード

ジャック・ケルアック『オン・ザ・ロード』文庫化! / オリジナル草稿版『スクロール版 オン・ザ・ロード』刊行!|河出書房新社

 1個目は「オン・ザ・ロード」である。ある程度使い手と同調はしているものの、基本的には勝手に街をさまよい歩いて行動する、という性質を持った能力で、「これは本当に作中で持ち主とされている人物の能力なのだろうか?」という含みも持たせる、という味つけもした。

 この能力の内容と、名前、そして元ネタの展開が、かなり「近すぎず、遠すぎず」感があっていいですよね😋。あと複雑な語彙や構文は使わずに、謙抑的に、「ジョジョ」にいそう、って感じの名前にできたのも非常に良かった。

 

能力名にした結果かっこよかったと思う文学作品タイトル2:センチメンタル・エデュケーション

感情教育(上) - 光文社古典新訳文庫

 次は「センチメンタル・エデュケーション」。こちらはけっこうな大ボスのもつ能力名なのですが、それとは裏腹にちょっと柔らかい字面にしたほうが、迫力が増すだろうと考えたうえでの選択である。能力の内容ともマッチしている*3し、あと元ネタ作品の格としてはよほど大物なので、そこで一回ハッタリが効くというのもうれしいポイントである。

 

能力名にした結果かっこよかったと思う文学作品タイトル3:オレンジ・アンド・タール

オレンジ・アンド・タール 藤沢周 | 光文社文庫 | 光文社

 最後が「オレンジ・アンド・タール」。作中では非常に地味で、あんまり目立つ場面もないのですが、ネーミングとしては個人的にはなかなか気に入っている。ちょっとキャラクター的に、あんまり凄みが効くと困るのでそこそこに……、でも雰囲気はあって、「触れた物体に毒物を仕込む」という能力の内容ともいい感じにマッチするように、という条件でなかなかいい作品を見つけることができたのではないでしょうか。当時読んでなかったのでこのために読んだのを覚えている。

 世界的名作ばかりをもじるとそれはそれでなんかダサい*4ので、こういうタイプの作品も入れて差し色にしておく、というおしゃれムーブができるのもいいですよね。

 

 逆に正直良くなかったなと思っているのは「オリエンタル・テイルズ」(オリエンタルという語が、持ち主キャラの性質とあわせて作中で無駄な含みを持ってしまった)、「移動祝祭日(ア・ムーバブル・フィースト)」(ただ名前を使っただけになっちゃった)、「パヴェーラフ・バリエーラフ」(カッコつけて現代を引いてきたけど、邦題の「バリエール越え」を全然超えれてなくて恥ずかしかった)、などですかね。

 

まとめ

 これからはもっと地域の活動や、家庭、仕事上でのスキルアップなどに時間を使っていきたい。

*1:いま思い出すとものすごい作業量だったが、それでも完結まで1年9か月ほどかかった。ただ、やっぱ能力バトルものを考えてえ~というのは子供のころからの夢であり、実際いま読み返してもけっこう面白いなと思える(とくに終盤は)ものにはギリなったので、デジタルタトゥー感もちょっとありつつも、やってよかったなあとも思っている。

*2:ジョジョ」では音楽からとられるのが通例となっているが、当時はあまり音楽知らなかった。

*3:まあこれはちょっと近すぎたかもしれないが。

*4:いま調べてきたのか? という匂いがするため、カルチャーマウント合戦に負けやすくなる。

忘れずに帰ってくるんだよ。あんたのように簡単には出ていけない人たちのために。~サンドラ・シスネロス『マンゴー通り、ときどきさよなら』~

 

 いつか、わたしだけのホントの友だちをつくるんだ。わたしの秘密をうち明けることのできる友だち。わたしのいう冗談を説明ぬきでわかってくれる友だち。それまでのわたしは赤い風船。錨のついた赤い風船。

 

マンゴー通り、ときどきさよなら 中古本・書籍 | ブックオフ公式オンラインストア

 『マンゴー通り、ときどきさよなら』を読みました。口ずさみたくなるようなタイトルで、みるからに名作の匂いがしますが、実際読んでみたら名作なんてものではなかった。

 詩人としてデビューしたこの作家の文章はいたるところすべて美しく、またそういう作家にありがちな無軌道さはなく、連作短編としてひとつの構造物になっている。そのうえ、一本一本はショートショートくらいの分量なのですが、それぞれ話としてきれいにまとまっている。文学的な美しさと、社会的な視点とが両方とも高いレベルで組み込まれている。理論上完全無欠満点の文学作品と比べたらそれは多少は劣るところはあると思いますが、でも人類の歴史の中で形となって出てくるものとしてはこれ以上を望むのはぜいたくと言っていい水準ではないでしょうか。

 特別な理由がない限り必ず読んだほうがいい作品です。いつか、絶対にね!

 

 この作品について絶賛する以上に言いたいことはあまりないので、個人的な思い出の話なのですが、今日読んだんですけど、5、6年くらい前に一回手にとってはいるんですよね。地元に帰っていたときで、運転免許の試験を受けに那覇に行っているところで、午前中の学科と午後の何か(忘れた)の間の時間を近くの本屋さんでつぶしているときに、たまたま背表紙を見て手に取って、最初の3篇くらいを読んだ記憶がある。

 そのときもひしひしと名作感を感じていたのだが、いろいろな考慮の末にその場では買わなかった。ただ、いつか読むだろうな…という感じはあった。まあ何が言いたいかというとですね、名作は待っていてくれるので、いま僕は「絶対に読んで!」という内容の話をしているのですが、すぐじゃなくていいんですよということである。『マンゴー通り、ときどきさよなら』すごいキャッチーなタイトルなので、記憶のどこかには引っかかっているはず。次に見かけたタイミングかその次か、……いつでもいいので、という話である。信じられないくらいの名作ですので。

 

子どもたちにパンケーキの夕食を食べさせて寝かしつけたあとで、ちいさな紙切れに詩を書きつける。何度も何度も折りたたんで長いあいだ握っているから、そのちいさな紙切れは一〇セント玉のような匂いがする。

忘れずに帰ってくるんだよ。あんたのように簡単には出ていけない人たちのために。

 

U218 マンゴー通り、ときどきさよなら - 白水社

 上には自分がいま読んだバージョンのを乗せましたが、白水Uブックスでも出ているのでこちらのほうが手に取りやすいでしょう。内容は同じだと思われます。