短歌 22

 

街灯を数えるだけのことなのにどうして悲しくなるのでしょうか

 

 

飲み残したテーブルの水を思い出すリセットを押して生き返るとき

 

 

警官の徒労 深夜の国道に車間を開けずTAXYTAXY

 

 

男の子みたいに花野に逃げた蝶ぼこぼこにされて帰っておいで

 

 

幸せを死後まで我慢できなくて行くレストランきらめくナイフ

 

 

うつくしい色に生まれて黄絵具は腹をよじった形で眠る

 

 

クリスマス 紙のコップに注ぐのはダイアモンドのようなウォッカ

ミッション・コンプリート~20’J1第26節 川崎フロンターレvs北海道コンサドーレ札幌~

 

 2016年のアウェイ千葉戦、2017年のホーム浦和戦、2019年のルヴァンカップ勝戦と並んで、忘れられない試合になると思われるのが、2020年シーズンのアウェイ川崎戦だった。

 

 長い導火線を引きずった試合だった。昨年のルヴァンカップ準優勝メンバーのほとんどをチームに残留させて臨んだ2020年シーズンだったが、第1節を消化したあと、コロナウイルスによりリーグは長い中断に入ってしまう。その時期に、主力選手を2名放出することとなり、「今年は降格ないんだからいいんじゃね?」と札幌は勝ち負けをある程度度外視しつつ新しい戦術を試す時間を過ごしていた。

 

 「決勝戦に置いてきた忘れ物を取りに行く」……、という威勢のいい言葉ではじまった一年だったが、結局は長いプレシーズンになってしまった。新たに導入された、機動力のある選手を中心に据えたマンマークとプレッシングの新戦術は、「福森が前線のモンスターズ(都倉やジェイ)に蹴っていれば勝てる! わはは」みたいないままでの札幌の戦術(?)に慣れていた僕にとってはややちょっと寂しいものだった(とくに深井選手や宮澤選手、進藤選手や福森選手といったこれまでの札幌の顔だった選手の序列が下がってしまうのが寂しかった。)。

 

 実際、この戦術は(マンマークという性質上ある程度しかたないが)、前半こそいい試合をするものの、後半は足が止まって相手のボールの出し手を抑えられず、スペースを使われまくって崩壊する、みたいな惨めな負けかたをする時期が長くてしんどかった。すこしずつ緩急の使いかたをおぼえ、選手の個人能力で上回っている相手にはすこしずつ勝てるようになってきて、……その直後にあったのがこの川崎戦である。

 

 川崎フロンターレ……、彼らがルヴァンカップ優勝トロフィーをつかむのを去年目の前で見ないといけなかった相手であり、ここ数年は、毎年1回は6点とか7点とか大量失点して負けている相手であり、そもそもJ1リーグでの対戦では歴史上いちども勝てていない*1相手であり、今シーズンは25試合22勝2分1敗とぶっちぎりで首位を走るチームである。

 

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 はじめに述べたとおり、忘れられない試合になった。攻めては、両WBに逆足の選手を起用して被カウンターをケアし、守っては、川崎相手にマンマークのプレスを敢行、トランジションの局面では涙ぐむくらい素早い切り替えを見せてくれた。

 そういう戦いができたのも50分くらいまでだったのだけど、そこからは、守りに入るのではなく、ドゥグラス・オリベイラアンデルソン・ロペスをトップに投入してツッパリきった。それをほめてくれるみたいに、サッカーの神様が2点の美しいゴールをくれて、それを守り切った。

 

 これまでの札幌の積み重ねが、すべてこの試合のためにあるような素晴らしいゲームだった。

 

 試合終了間際に実況の桑原さんが言った「ミッション・コンプリート」という言葉が、ほんとうにこのためにあるような表現で、美しかった。

 

*1:鹿島にはシーズンダブルを決めたので、(ちゃんと調べてないから、ひょっとしたらヴェルディとかフリューゲルスとかが残っているのかもしれないが)ひょっとしたらJ1で対戦したことがあるなかで勝ったことがない最後のチームかもしれない

食わず嫌いだった

 

 僕にとって典型的にはRADWIMPSがそうなのだが、「その事物に対して興味や関心がないこと、その事物がみんなほど好きじゃないよ、と思うこと」が自分にとって誇らしくなってしまっていることが恥ずかしながらあり、天下一品のラーメンも長いあいだそのひとつだった。

 

 みんなそうだと思うけれども、僕の周りの友達もみんなけっこう天下一品が好きで、「天一行こうぜ」とか「10月1日だから天一行こうぜ」「せっかく京都来たし天一行かね?」などと頻繁に誘われるのだが、そのたびに、すこし優越感を持ちながら「俺あんまり好きじゃないんだよね」「天下一品食べたことないんだよね。一蘭一風堂*1と正直区別がついてない」「天下一品に行くんだったら俺はご飯は寄らずに帰るわ」などと、「天下一品」とわざわざ略称を元に戻して言っていた。

 

 厳密には大昔に友人の説得に折れて一度だけ訪問したことがあるのだけど、そのときも周囲の大反対を押し切って「あっさり」を注文した。べつにあっさりを食べたかったわけではなく、ただ意固地になっていたのだ。

 

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 だがそれは過去の話。ちょっとまえに「敵を知るのも悪くないな」と思ってなんとなく天一に行ってこってりラーメンを食べてみたんだけど、もう超おいしくて好きだった。

 

 ドロッとしているけど意外に食べるのがきつくないスープが二日酔いの胃腸にやさしかったし、テーブルに置いてあったり店員さんに頼むとくれる味変アイテムがどれも味が強くて最高だった。とくにラーメンたれがドン!って感じのしょっぱさで超好きですね。それに微妙に量がすくなくて、食べ終わったあと「終わっちゃった……」って飢餓感が残るのも心憎い。やや高いけど、それももはやそれでいい。

 

 はじめて天一を食べたあとの一週間はずっと天一が食べたくてしょうがなかったし、そのあとも定期的にどうしても食べたくなるときがくる。最初は「こんなに自分が好きなものをこれまでずっと食べてこなかったなんて、損をした…」と落ち込んでいたのだけれど、最近は「どう考えてもこれは体に悪い。おそらく体を壊さずに生涯で食べられる回数に上限があるタイプの食べ物だろう。いままで温存してきてよかった~」と思っている。

 

 今夜はこれを聴いて寝ようと思います。おやすみなさい。

*1:現在のところ、一蘭にも一風堂にも行ったことがなく、興味もないが、天下一品に対してそうだった程には優越感はない。この違いはどこからくるのだろうか。不思議だ。

pixivのNPS調査 ほか

 

pixivのNPS調査 

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 なにげなくpixivを開くと、画面の端っこにちょっと出てくる形でこんな質問をされた。おなじ趣味の友人にpixivを勧めるシチュエーションとか、存在するか? pixivって勧めるとか勧めないとかそういうようなものではなくない? 勧めたいとしても、個々の作品じゃなくpixivそのものを勧めることってある? と思ってちょっと面白く、スクショも取ったのだけど、あとで根本的なことが気になって調べてみた。

 

 たまーにみかける、「勧める可能性はどれくらいありますか?」方式の質問、……これはNPSと呼ばれる尺度らしく、ふつうに顧客満足度を聞くよりも、サービスの業績とか成長率とよく相関する値を得られるらしい。たしかに直感的にそうな気はする。

 

純米 宮の雪

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https://www.miyanoyuki.co.jp/seisyu.html

 今日はこういう日本酒を飲んでいた。真っ赤な紙に包まれているけれど、なかのラベルは以外にもちょっとシックな青系。どちらも上品な色合いで、見た目はかなり良いお酒だった。

 味もおいしい。アルコールの感じはほとんどなく、一口のなかで雰囲気がちょっと変化する。最初はすっと落ち着いた、食事にすんなり合わせられる主張を抑えた味わいだけど、終わり際にはちょっと華やいだ感じになる。とても良いお酒だ。

 

 調べてみると、作っているのは三重県の「宮﨑本店」というところ。なにを隠そう、あの「キンミヤ焼酎」の製造・販売元である。キンミヤ以外にもこんなに定番感のあるよい日本酒を作っていたんですね。

 

ベイルの初ゴール

 最近は波の谷のほうの時期であんまりサッカーをちゃんと見てはいないのだけど、でもハイライトや結果くらいはチェックしたりするので、それが好きになるっていうことなのかもしれない。「好き」はmaxではなくminのほうでよりわかるというか……。

 

 さて、直近のヨーロッパリーグロイヤル・アントワープ戦を落としたスパーズ。アントワープに負けるなんて……、と結果だけを見たときは思ったけど、有識者によると今年のアントワープはマジで強いらしい。ポジションはウィングバックになっているが、そんなチームで出場機会をつかんでいる三好選手も素晴らしいわね。

 

 嫌な流れだったけれど、ホームでブライトンに勝利。待望のベイルのゴールも、……まあベイルの強みが発揮された形、というわけではないけれど、それでもめでたいことですね。もっと勝っていこう!

 

 ちなみにアントワープの試合はこちら。対戦相手のベールスホットでは鈴木武蔵が2点取っててすごい、と思ったけどなによりアントワープ3点目のスルーパスとそのあとのシュートが「糸を引くような」って感じで美しかった。

僕たちの故郷には

 

僕たちの故郷には
名前のついた風がひとつもない
どの家の窓にも立ち寄らず
一度吹きわたっていくだけの風たちだ

 

故郷の小学校には
完成した絵日記がひとつもない
鉢植えへ欠かさない毎朝の水やりも
最後には嘘の花が咲くだけの日々だった

 

小学校の校長は
まったく耳が聞こえなかった

門の外で明らかに待ち受けている
殺人者としての運命に
気づかぬまま僕たちを卒業させた

そして
僕たちのうちのだれも
まだそのことを許していない

 

僕たちの右手には
残っている指がひとつもない
僕たちの左手には
つけきれない指輪が
たくさん握られて光っている

300か月と0日

 

 11月1日というのはそもそも個人的なラブライブ!の推しの誕生日であり、ただでさえすこし特別な日だったのだが、V6を嗜むようになってからはまたさらなる意味が加わった。11月1日はV6の結成記念日でもあるみたいですね*1

 

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 加えてことし2020年はV6にとっては25周年のアニバーサリーイヤーでもある。それを記念して、オンラインコンサートが開かれるということだったので、見ました! アイドルのコンサートのチケットを買うなんて、生まれて初めてのことだ。

 

 V6「LIVE TOUR 2017 The ONES」について会って話したいという回で話したとおり、映像になっている彼らのライブ自体は若干見たことがあった。ただ、そのときと違って、オンラインになったということで、いろいろ特徴的な部分があったと思う。

 とくに思ったのは、コンサートやライブには「コンサートやライブでもりあがる定番曲!」みたいなものを畳みかける一幕がだいたいあるものだろうけど、それがないのがちょっと新鮮。じっさいそういうくだりはその場に居合わせているオーディエンスを楽しませるために挿入されている、という部分が大きいものだと思うので、無観客だしやらないでいいかというのは自然な発想のように思った。*2

 

 オンラインが選択肢となったことで、演出や機材といった面だけではなく、内容的にもこれまでのライブやコンサートは変わっていくのかもしれないですね。

 

 個人的に最高だったのはMC部分と「SPOT LIGHT」と「ある日願いが叶ったんだ」。MC部分はなんかやけにヴィジュアルブックにのせるメンバーの写真を撮りたがる岡田が「ずっと近くで見てる俺こそがいちばん君らのいい写真を撮れる」みたいなことを言っていたのが良かった。V6はちゃんといちゃいちゃと営業していて、それがわりと自然体に見えるのが美しいですよね。

 あと、販売グッズのアクリルスタンドを紹介しているときに、それを胸ポケットに入れて、「南くんの恋人」って言ってたのが良かった。アイドルだしもうすこし世代を隠してもいいと思う。

 

 あと、井ノ原さんが、この日のことを、デビューから300か月と0日って表現してたのもキュートでしたね。そのあと、岡田が三宅に促したブルームーンのくだりもハートウォーミングだった。そのまえ個人的にしてたくだりを、「そう言えばお前さっきこんな話してたじゃん」ってみんなのまえで持ち出す二人組ってすごく良いですよね。

 

 「ある日願いが叶ったんだ」は個人的に好きな曲だったので聴けて良かった。「君を」の部分でめっちゃソウルフルに叫ぶ井ノ原素敵かよ。知らない曲のなかでは「GOLD」がいい曲だった。「PINEAPPLE」や「Right now」なんかもかっこよくて良かったですね。

*1:ほかにも、鹿児島県大口市伊佐郡菱刈町が合併して伊佐市になった記念日だったり、アンティグア・バーブーダ独立記念日だったり、ジョン・カビラの誕生日でもあるらしい。すごいですね、11月1日というのは

*2:終了後に行われたファンクラブ限定のアンコールではそういうのもやったのかもしれないが。

聞いている音楽♪♪♪

 

 最近、……というわけでもないけれど、聞いている音楽を紹介します。

 

 ゲームをフィーチャーしたややナードなミュージックビデオなわりに、やや尖ったパンクロックなこの曲がかなりお気に入りで、昔聞いていたのを掘り返してまた聞いている。

 うなる「おー、おーおおおー」って部分が好き。やっぱり最近は男臭い音楽にはまっているんですよね。男はまじで最高。男でよかった。

 

 ヴァイオリンが流れている曲はなんでも好きになってしまう、という脆弱性があるのだけど、Clean Banditの曲はそれ以前に良いのであんまり関係ないかもしれませんね。

 24億回再生されている化け物ヒット曲で、ふいに入った美容室とかで流れているのもよく聞くので、ひょっとしたら知っている曲かも。

 

 なぞの低クオリティ合成映像と口笛ではじまるこの曲Video Ageの「Aerostar」は、お気楽でギャグなエレクトロ・ロックだと最初は思うんだけど、たしかにその通りなメロ部分のあと、一瞬エモなブリッジをやってたしかにその通りなサビに戻るんだけど、その一瞬のブリッジがかなり良い効果を曲全体に与えていると思う。

 ソロ部分のギターの音もめちゃくちゃ好きだ……。

 

 いつのまにかライブラリにあるけど「これいつ登録したんだっけ……」ってなってるアルバムってありますよね。このArchitecture in Helsinkiもそんなアルバムのなかの曲で、たしかに、いま聞いてみるとこれ俺が好きそうだな、……でも何度もは聞かなそうだな、という趣。

 いろいろな種族のキャラクターが登場するラブリーなミュージックビデオは非常におすすめ。officialじゃない動画のほうは200万回も再生されている。

 

 全体的に富んでいる展開と、なによりメロディーの良さが素敵な名曲ですね、Portugal. The Manの「Feel It Still」。最初に出てくるときは弱く、控えめに、二度目に出てくるときは最前面に、な早弾きのギターのパッセージが素敵。

 

 Ra Ra Riotって……、なんて名前だ、と思いながら半信半疑で聞きはじめたけど、名前のパンクさとは裏腹な非常に洗練されたハイブロウなロックバンドでびっくりしてしまった。

 抑制のきいたボーカルの背後に流れるノリ良くすり寄ってくるようなストリングス、それを包み込むドラムとベースなど、非常に見どころの多い曲なのではないでしょうか。