食わず嫌いだった

 

 僕にとって典型的にはRADWIMPSがそうなのだが、「その事物に対して興味や関心がないこと、その事物がみんなほど好きじゃないよ、と思うこと」が自分にとって誇らしくなってしまっていることが恥ずかしながらあり、天下一品のラーメンも長いあいだそのひとつだった。

 

 みんなそうだと思うけれども、僕の周りの友達もみんなけっこう天下一品が好きで、「天一行こうぜ」とか「10月1日だから天一行こうぜ」「せっかく京都来たし天一行かね?」などと頻繁に誘われるのだが、そのたびに、すこし優越感を持ちながら「俺あんまり好きじゃないんだよね」「天下一品食べたことないんだよね。一蘭一風堂*1と正直区別がついてない」「天下一品に行くんだったら俺はご飯は寄らずに帰るわ」などと、「天下一品」とわざわざ略称を元に戻して言っていた。

 

 厳密には大昔に友人の説得に折れて一度だけ訪問したことがあるのだけど、そのときも周囲の大反対を押し切って「あっさり」を注文した。べつにあっさりを食べたかったわけではなく、ただ意固地になっていたのだ。

 

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 だがそれは過去の話。ちょっとまえに「敵を知るのも悪くないな」と思ってなんとなく天一に行ってこってりラーメンを食べてみたんだけど、もう超おいしくて好きだった。

 

 ドロッとしているけど意外に食べるのがきつくないスープが二日酔いの胃腸にやさしかったし、テーブルに置いてあったり店員さんに頼むとくれる味変アイテムがどれも味が強くて最高だった。とくにラーメンたれがドン!って感じのしょっぱさで超好きですね。それに微妙に量がすくなくて、食べ終わったあと「終わっちゃった……」って飢餓感が残るのも心憎い。やや高いけど、それももはやそれでいい。

 

 はじめて天一を食べたあとの一週間はずっと天一が食べたくてしょうがなかったし、そのあとも定期的にどうしても食べたくなるときがくる。最初は「こんなに自分が好きなものをこれまでずっと食べてこなかったなんて、損をした…」と落ち込んでいたのだけれど、最近は「どう考えてもこれは体に悪い。おそらく体を壊さずに生涯で食べられる回数に上限があるタイプの食べ物だろう。いままで温存してきてよかった~」と思っている。

 

 今夜はこれを聴いて寝ようと思います。おやすみなさい。

*1:現在のところ、一蘭にも一風堂にも行ったことがなく、興味もないが、天下一品に対してそうだった程には優越感はない。この違いはどこからくるのだろうか。不思議だ。