「MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない」(2022)

 

 「MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない」という映画を見ました。低予算ながら、脚本と演出に力を入れて若手中心でやっている…、という感じの雰囲気。

 良くできていて、面白い映画でした。短くまとまっていて、見ている間楽しく、ドキドキしながら過ごすことができる良作です。ただ、そもそものモチーフ選びに無理があるのではないか、と難癖をつけたい気持ちもある。

 

 タイトルに書いてある通り、タイムリープものなので、初見の客を驚かせる仕掛けが満載の作品。以後のネタバレ感想はなるべく視聴前には読まないほうがよさそうです。

 

映画『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』本予告【10.14公開】

 

月曜日の朝。プレゼン資料の準備で忙しい中、主人公が後輩2人組から

「僕たち、同じ一週間を繰り返しています!」

と報告を受けるシーンからこの物語は始まります。

小さなオフィスで起きた、"社員全員タイムループ"。

ひとり、またひとりと、タイムループの中に閉じ込められているのを確信していきます。
「もう仕事なんて放り出してしまいたい」
「新しいスキルを身につける、いい機会かも?」
「仕事をうまくいくまで繰り返して、最高の状態で転職してやる!」
それぞれの様々な思惑が交錯しながら、繰り返される地獄の一週間。
しかし、タイムループ脱出の鍵を握る肝心の部長は、いつまで経っても気づいてくれなくて……。

 

(以下ネタバレ)

 

 

 

 

 

 

 やっぱり物言いを付けたくなるのは、「なんでマンガ?」というところである。野心だったり自己効力感だったりを失って、ただ言われるがままに働いて毎週毎週過ごす社会人生活が「ループもの」のように思えてしまうこと。そんな中で自分だけ良ければいいと思うこととみなと協調して頑張ることとの対立。うだつの上がらない日々をうだつ上がらなく過ごしているだけに見えた社内の人々に、じつはそれぞれの頑張っている顔と、自分も助けられているところがあること。――社会人へ向けての教訓やエールのようなテーマを持つ作品だけに、後半全員で漫画を制作しているところにどうも噛み合わないものを感じる。これはなにかの案件とかプロジェクト、……あるいはオフィスの掃除とかでもいいんで、なにか仕事じゃダメだったのでしょうか。

 

 ステージの人物みんなで、漫画なり映画なり劇なりライブなり、なにか作品を制作する(そしてその作品の内容が、登場人物たちの状況とオーバーラップする…)という「作中制作」の手法は、とてもエモーショナルで強力なのですが、だからこそ多くの作品で使用されていて、正直陳腐化はしていると思うんですよね。

 学生生活が舞台ならまあ仕方がないとは思う。学生の身分ではやれることが限られているから。ただ、やんなきゃいけない仕事が普通にある「社会人」の映画でやるのは良くないのではないかと思いました。

 

 社会人は、仕事をした方がいいと思う。実際、ループに気づかせることを「上申」と「プレゼンテーション」という形でループもののシナリオに自然に落とし込んでいた前半部分は完璧だったのではないでしょうか。

 

 前半部分を膨らませて、レポートライン上にいるひとりひとりにドラマを与え、連絡系統から外されていた(おそらく事務職の)聖子さんも実はチームの大切な一員だったということがわかるひねりを加えて、最後部長にチーム一丸となった渾身のプレゼン成功で終わり! というパターンも2,3案ほど見てみたいなと思うのですが、来週の月曜までにいただけたりしないですかね…?(できればイメージ映像もつきで)