マドリーにとっては0-0で帰宅しても十分な成果と言えるゲーム。スタメンも戦いかたもかなりコンサバでした。ボール保持時は相手を動かしたり崩したり、前線にクリーンなボールを届けることなどは考えず、変な奪われかたをしないようにゆったりと。守備も変に構えすぎず、コスパ良く守れた前半だったかなと思います。
とはいえ相手のルイス=スケリーが中盤に出てくると、モドリッチが飛び出すわけにもいかず、前から器用に守れるほど前線も守備やる気ニキたちではなく、結局そこを起点に簡単にチャンスをつくられてはいた印象。クルトワのセーブまですべて計算に入れて、ギリ守るという感じであった。
そして後半である。アラバが不用意な位置で与えたFKを、目覚ましい弾道でライスがゴールに収める。数分後にまったく同じようなFK。そして立て直すこともできず3失点目までコンボで献上してしまう。
いろいろマドリーの悪いところ(インテンシティ不足、人員の歪み、コレクティヴィティなどなど)に注目ことはできると思うのですが、それはそれで織り込み済みというか、それは前提としても勝ってきた過去はあるじゃないですか。それと同じように今回もいけると思っていたら踏みつぶされた、という感じである。よくイングランド勢にCLでやってたことをやり返されたような気持ち。
なんか惨敗だけどすがすがしい気分でもあるな。一試合でひとりの選手が2回フリーキックを決めるところなど、見たのは2017年以来である。
以下、各選手の雑感です。
完璧にやっていたと思う。
上がりもなく、中盤としてふるまうこともなく、完全に守備的ラテラルの仕事をしていた。冷静になるとこんなにもったいないバルベルデの使いかたがあるかよとは思うが、これがこのレベルの試合でのマドリーのやりかたですよね。
ラウール・アセンシオ
修羅場でしたがあわてずプレー。誰も特に心配していなかった。
リュディガー
なにかを変える力がある選手のひとりだと思うので、今回は不発だったものを次回も期待したい。
アラバ
サカとのマッチアップが不安視されていましたが、まずまず抑えた。シュートブロック等でも仕事をした。……けど、ライスの1点目のFKに繋がるファウルを与えてしまうなど引き続き風水の悪さが感じられた。
若い相方とともにチームの消極的な方針に沿って仕事を遂行。モドリッチの落ち着きが欲しいタイミングではピッチの外にいました。
カマヴィンガ
最後はフラストレーションに耐えられなかった。
カウンター時にも大事をとってあんまりエンバペを追い越さない方針だったのかな? 理屈はわかるがロドリゴが裏に走っていればいい形…というのが複数回あったのでちょっと惜しい。
ベリンガム
左サイドを抑えるなどフルタイムで働きつつ余力でなにか起こそうとしていた。
エンバペ
左側に落ちてきてのポストプレー(キヴィオルの対応を悩ませる、ビルドアップの出口を作るプレーでとてもよかった)など、比較的仕事はしていたと思う。決定的な仕事をするべき選手ではあるが。
ヴィニシウス
まあ~、責任を負うべきなのは彼になるのかなという感じ。この出力でマドリーがいい結果を持って帰るのに必要なクオリティはなかったですね。