短歌 94

 

日記書く 君は最後の一行に心打たれて明日も頑張る

 

 

託児所に春は訪れ明日には取り払われる千代紙かざり 

 

 

飴や菓子二列に並べテーブルに息子がつくるやさしい内閣

 

 

昼メシにアイスをつけてこの人生に似合うくらいの荒川の美しさ

 

 

昔いた街の夕暮れもう僕は住んでない部屋が山ほどあって

 

 

うぶ毛だけ見つめて過ごす地下鉄が駅に着くたび悦ぶ君の

 

 

先祖みな   いた   一度でもひとを愛したら出られなくなる寂しい部屋に

 

 

神さまを送ってしまうと秋になる 人の弱い欲おさえつけられ