「結婚できない男」を見ていた。「これになるな~……」と思ったのと、いま見るとちょっとジェンダー的に面白いのではないかと思った、というのが理由である。ジェンダー的に面白いかどうかはよくわからなかった。……面白いような気もするし、駄目なような気もする。端的に、ジェンダーの話と結びつけて考えられるポイントがそんなにない、というような気もする。
ただ、ドラマとしてはとても面白かった。
「キャラクター人気投票」をやるとしたらだれにするか、それで一席話が持ちそうなくらい全員魅力的でいいですね。阿部寛さんはまじで阿部寛なのに本当に気持ち悪くて良い、なんちゃって陰キャじゃない本物の挙動のキモさがあってうれしい。し、夏川結衣さんも国仲涼子さんも塚本高史さん*1もメインキャストはそれぞれにキモさと愛くるしさが与えられている。
キモさを発揮するスペースがない、もうすこし脇役のキャラは美点が際立っている。個人的には主人公の義理の弟のBro感が良かったです。
そして金田……。金田はすごいよ。高知東生の代表作だろこれは……。ネタバレになるが最終話の焼き肉屋のシーンでは涙ぐんでしまった。
ストーリーは特別際立ったところがあるわけではないが、逆に不快感を感じるところもない。とてもとても、そのなかでいきいきとしているキャラクターのためにあるストーリーで、一年の1/4をそんなキャラクターたちと過ごすためのフォーマットであるテレビドラマのストロングポイントを活かしたストーリー作りってこれなんだなあと思った。
しかし、ひとりで料理や食事をしたり、レンタルビデオ店やコンビニで買い物をする独身男性が「不審」なものとして表象されているのはかなり身につまされるものがあった。いまはまだ僕も比較的若いのでなんとかなっているが*2、このどうしても出てしまう不審さというのは生きていくうえで今後重要になってくる問題なのでしょう。
そんな「結婚できない男」の生きかただったり、お金がない若いチャラい男の生きかただったり、夢見がちな若い女の生きかただったり、結婚して尻に敷かれる生き方だったり敷く生きかただったり、……登場人物それぞれの、自信を持った生き方が対等に、そのなかのなにかがダサくてなにかがかっこいいみたいな順位づけがされない形で描かれているのが稀有で、どんな人にも笑いとちょっとだけ勇気を届けられるような作品だったのかなあと思った。