マジスカスクエアガーデン

 

 ふだんはぼんやりネットニュースとかを見つつ怠業していてもまあ大それたことをしていなければそんなに厳格に見とがめられることはない環境なのだけど、上司にモニタを覗きこまれたときこればかりは「ちゃんと働きなさい」と怒られ、「ごめんなさい…」となった面白読み物系記事サイトを紹介したい。

 

 マジスカスクエアガーデンだ。テキストサイトにルーツを持つような、写真と文章主体のおもしろ企画記事を更新していっているサイトで、記事のテイストも形式も非常にオモコロに近い。「オモコロ」にとっての、「東海オンエア」に対する「夕闇に誘いし漆黒の天使達」みたいな感じである。

 

 たんに二匹目のどじょうを拾いに来た人たちではなく、企画にセンスがあって面白い。聞いただけで笑っちゃうようなおもしろ企画なんてたぶんこの世にそんなに数があるものではなく、後発組が新発想でぶちかますのは俳句くらい難しいのではないかと思うが、それを乗り越えて名作を継続的に生み出していてすごい。

 たまに「なんだこれ…?」みたいなのもあるが、適度に名作があることによって、あまりうまくいかなかった回も「この人らアホだな~笑」とポジティブな気持ちで楽しんで読め、むしろ好感度が上がる。

 

 個人的にとても好きだったのがこの回。適当なおじさんを見つくろって、人生の出来事をヒアリングし、それをもとに人生ゲームを作成、後日本人と対決するという企画である。

 人生ゲームなんて運でしかないので本人がやっても強いわけないでしょ、というまっとうな解に一切触れず、おじさんを見つくろうところからすごい馬力で企画が進んでいく。

 

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 また企画を成立させるにあたって、アホアホ単純作業をしているところもぞくぞくするくらい良かった。

 僕はけっこう人*1が理不尽な単純作業を余儀なくさせられているのが好きで、大金持ちになったらそういうことをやらせる観賞用の人間を購入してもいいなと思っているのだが、インターネットの時代ではたくさんの人がウケようとしてそれをやってくれているのでうれしい。ひとに無理やりやらせてそれを楽しむのには道徳的に大きな問題があるが、自発的にやっている人を見る場合はそういった問題が発生しないのでありがたい。

 

 この企画は最終的には、器用には生きられなかったひとの人生を、ユーモアと哀愁で包み込む非常に文学的な展開にもなっていて素晴らしかった。アイディア、作業量、やりきり、それ以上の何かすべてを兼ね備えたインターネットおもしろ記事史に残る大名作です。

 

 ほかにも、ちゃんと賢い人たちがやっているんだなとわかるこちらの回(これも作業量が多め)とか、

 

 アニメではなく大長編ドラえもん「漫画版」を参照する、マニアの一面をのぞかせるこちらの回、

 

 面白いから画像はガビガビで問題なし! というような割り切りが心地いいこちらの回なども傑作です。

 

 ぜひみなさんも会社で読んでみてくださいね。

*1:自分でやるのもけっこう好きである。