最近個人的にもっともはまっているお笑い芸人YouTubeチャンネルがこの「北陽チャンネル」である。2020年の9月に最初の動画が投稿されており、現時点でのチャンネル登録者数は4万人ほどである。
北陽さんといえば、「はねるのトびら」に出演していてずっと見ていたのだけど、とくに好きではなかった、というひとが僕らの世代では結構多いのではないでしょうか。個人的には虻川さんは下品で幼心に怖かったし、伊藤さんは番組上であまりにも役目がなくて触れちゃいけないタイプのひとなのかと思っていた。
【北陽の体力測定バトル!】実は運動神経が良いのは、、 - YouTube
その北陽さんがはじめたYouTubeチャンネル、……特別に面白い企画があるわけでも面白いことが起こるわけでも、面白いことが言われるわけでもないのだけど、とても面白くて永遠に観ていられるんですよね。
もともとふたりともおなじ高校のおなじ部活出身*1で、お笑い芸人としても長いキャリアを持っている。私生活では同じころに結婚し、同い年の子どももいて、伊藤さんのブログを見るかぎり、仕事からフェードアウトしたあとも友人としての関係は続いていたみたいだ。
本当のところや細かなニュアンスは知りようはないのだが、それでも、北陽チャンネルでは、おたがいの間合いを知っている仲間どうしがのびのびと雑談をしていて、その様子がはたから見ているとおかしくてしょうがない、そういうタイプの面白さを実現させている。
これは「YouTubeで面白いことするぞ!」と頑張っている若者にはなかなか出せない、貴重なグルーヴである。
【ドッキリシリーズ】虻ちゃんへのドッキリ大作戦! - YouTube
元旦に公開されたドッキリ動画では、伊藤さんが作ったしょっぱい水とすっぱいサンドイッチを虻ちゃんが食べる合間の、「そろそろ賃貸から持ち家切り替えたいけど、子供が学区変わらないように、って選ぶとぜんぜん見つからないし、かといって小学校6年間ずっと賃貸!? 嫌ー!」みたいなふつうの世間話をしているパートが爆裂に面白い。
あと、車に乗ったらシートが限界まで前に詰められている、という浅いドッキリもしていたのだけど、ちょっと「シートベルトもしていないし安全の観点から問題がある」みたいな形で火をつけられかねず、火がついているところはあまり見たくないので、そのへんはちょっとタイトにやってほしいと思った。
そしてなににもまして印象的なのは伊藤さんですよね。これは「ショートケーキ。見るのは初めてだ……」みたいな演技をしている虻川さんに、伊藤さんが「あ、そっか。メロンが乗ってるケーキだもんね。ふつうイチゴだもんね。メロンは見たことないよね」みたいなことを言っていて、「いや、宝塚男役はふだんの生活でも男でちゃう、って設定のコント撮ってるんだからショートケーキ自体を見たことがない、っていうことでしょ」と思ってかなり面白かった。
虻川さんもちょっと笑いかけてたので、台本にはない、伊藤さんのただのズレ発言だったのだと思われる。伊藤さん、……こういっちゃ不適切ですけど、あの、いわゆる、天然、という感じで、こういうちょっとずれた面白言動がチャンネルの動画のいたるところにみられる。それを探していくのも、北陽チャンネルの楽しみかたのひとつなのではないでしょうか。
*1:コンビ名は通っていた高校の名前そのままである。