ノーベル賞わくわく 後編

 

 ついに今年もノーベル賞が出そろった。僕はけっこう学問のファンなので、ノーベル賞の時期は毎年なんとなく意識して、受賞した業績についてちょっと調べてみていたりする。今回は後半の、文学賞、平和賞、経済学賞についてちょっと調べていた。

 医学・生理学賞、物理学賞、化学賞についてはこちら

 

文学賞

 トーマス・トランストロンメル(2011年受賞)以来の、「本当に誰?」回であった。日本語の翻訳はまったくないが、受賞後インターネットを調べてみるといろいろと私家版の翻訳などを見つけることができた。

 けっこう平易な表現を使っていて、個人的には非常に好きなタイプの文体なのだけど、詩としての卓越性については見た感じではわからなかった。専門家の解説つきの訳詩集などが出るかもしれないので期待したい。

 

平和賞

 基本的には学問のファン、というつもりでノーベル賞を見ているので、平和賞に対してはおおきい内発的な関心はないのだけれど、それとは関係なく、関心をもってしかるべきものでしょう。

 国連機関であるWFPは、災害や紛争などで食糧危機に陥った地域に緊急的な食糧支援を行うところらしい。飢餓は食料を配っても根本的な解決にはならないし、一時の飢餓をしのいでも、つぎの飢餓で間に合わなかったらまえそのひとに配った食料も無意味になってしまうというシビアな性質を持っている支援である。それをしている機関は、決して花形の仕事ではないのだろう。

 

 ここで活動の詳細が見れる。自発的な寄付によってすべての資金がまかなわれているらしい。さすがに、いまのぼくの経済状況を考えるとしなきゃかな、と思ったので寄付をした。これをご覧のかたのなかに、日々の食事に困ってない貴族がいれば寄付ってもいいかもですね。

 

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経済学賞

 ノーベル経済学賞を受賞したのはポール・ミルグロムさんとロバート・ウィルソンさん。電波使用権の割り振りなどに応用されたオークションの理論が業績だというけれど……、と思ってオークション理論について調べていたんだけど、けっこう丸一日くらい夢中になって調べられるくらい面白い話題だった。

 

 オークションって、いちばんその商品を欲しいひとに相応の値段で商品が渡るだけじゃないの、って最初は思ったけど、それはかなり見えてなくて、売り手どうしでそれぞれの商品の評価額にたいする情報があるか、そういう情報が限られた、でも多少はある状態で自分の評価額に関わらずどんな額面で入札するか、と言ったところがまったく自明ではなく、売り手を複数にしたり、商品に組み合わせ相乗効果(現実的にはここが電波オークションと関連してくるらしい)を許したりするとなにもかもがわからなくなってくる。し、背後にある理論もかなり面白い。

 なかなか知力が及ばず、よくわからなかったところも多いのだけど、でもオークションはひさびさに好奇心が満たされた、良いノーベル賞でした。