ノーベル賞わくわく 前編

 

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 じつはけっこう学問のファンなので、ノーベル賞によって世のなかに学問のニュースが街中にあふれ、学問以外の話をしていると時代遅れになってしまうこの時期を毎年けっこう楽しみにしている。

 単純に知らないことを知れて脳がうれしい、というのもあるし、ノーベル賞は賞の対象となるのが最先端の研究ではないので、じつはそういう革新的な発見があったということ自体は僕でも知っていることも多く、そのときはなんとなく世間より先んじていたような気持ちになってわくわくするものだ。

 

医学・生理学賞

 「C型肝炎ウイルスの発見」という業績をたたえてのものらしい。もともとA型肝炎でもB型肝炎でもない肝炎があって、その発症原因が謎だったのを解明したということらしいが、それがどのくらいすごいことなのかはよくわからなかった。これから充実してくるであろう解説記事や書籍を待ちたい。

 

 受賞したのはハーベイ・オルターさん、マイケル・ホートンさん、チャールズ・ライスさんの3名。順に、「C型肝炎にはどうやらウイルスがいるらしいことを解明」「C型肝炎ウイルスをつかまえて取りだした」「C型肝炎ウイルスを人工的に増やせるようにした」という業績をもつという。みごとな連係プレーだ。

 真ん中のマイケル・ホートンさんはそのあとD型肝炎のウイルスも見つけたらしい。この調子でZ型肝炎までの全ウイルス発見・図鑑完成まで頑張ってほしい。

 

物理学賞

 物理学賞は「ブラックホール」と、とても一般受けを狙った授賞となっている。栄誉を受けたのはロジャー・ペンローズさん、ラインハルト・ゲンツェルさん、アンドレア・ゲッズさんの3名で、そのうちペンローズさんはとても有名人なので名前を聞いたことがあるひとも多かったのではないだろうか。

 量子脳仮説や、ペンローズのタイル貼り、『皇帝の新しい心』というかっこいいタイトルの本や、昔読んだタイムマシンの本に出てきたペンローズダイヤグラム、それにSFでもおなじみの夢のあるペンローズ過程など、いろいろなところで名前を聞くので、いまのいままでペンローズという名前の才能ある科学者がいろいろな分野にいるのだと思っていた。

 

化学賞

 エマニュエル・シャルパンティエさんとジェニファー・ダウドナさんが受賞したのはノーベル化学賞。「CRISPR-Cas9」というかなりかっこいいゲノム編集技術を確立したのが対象となった業績のようだ。

 

 最近が持っている獲得免疫のシステム、……感染してきたウイルスの遺伝子の一部を切り取って自分のゲノムに加える、という形でメモっておき、再度感染しちゃったときはその遺伝子情報をCas9という対ウイルスたんぱく質とくっつけてウイルスを倒しちゃうよ、という仕組みを応用して、いろいろな生物の遺伝子を自由にコピー&ペーストできるようにした、という発見らしい。

 詳しいことはわからないものの、シンプルに受け止めると応用範囲がとても広く、ほんとうにすごい研究だったのだろう、という感が伝わってくる。実際、開発されてからまもない技術なのだけど、もはや遺伝子工学のスタンダードなツールとなっているらしい。

 

 後半の文学賞、平和賞、経済学賞も楽しみですね。頑張れトランプ大統領